この動産に注目! ― 大豆ミール ―
関東地方で史上最も短い梅雨が明けてから東京ではいきなり9日間も猛暑日が続き、猛暑日の連続日数としては1875年の統計開始以降の最長記録を更新した。これは異常気象である「ラニーニャ現象」によるものと言われ、その発生は3年連続となる。「エルニーニョ現象」だったり、「ラニーニャ現象」だったり、異常気象はもはや「日常」となりつつある中、干ばつや洪水など様々気象災害の発生も増えそうだ。関東地方ではすでに「最短梅雨」と「最長連続猛暑日」のダブルパンチで水不足や電力不足といった懸念が出ており、これからさらにどういった影響が出るのか、不安は尽きない。
異常気象に伴う災害の増加は、国際商品市場にとっても大きなリスクとなる。穀物の国際価格は、ロシアによるウクライナへの侵攻ですでに高値圏まで押し上げられているが、その生産をめぐり米国やカナダでは春先の悪天候による作付けの遅れや、欧州一部地域の干ばつ、インドの熱波による減産見通し、豪州東部の洪水など、異常気象に伴う天候不順の追い打ちも多い中、先行き懸念が強まっている。なお、国連食糧農業機関(FAO)が発表した穀物価格指数(FAO Cereal Price Index)によれば、5月時点は173.4と、前月比3.7ポイント(2.2%)上昇している。これは前年同月を39.7ポイント(29.7%)上回っており、今後はさらに上昇する可能性も否めない。
ところで今回のテーマである大豆ミールも上記穀物価格と同様、値上げ幅が拡大している。大豆の産地であるブラジルやアルゼンチンでは厳しい乾燥が続き、減産の予想が広がっている一方で、中国での飼料需要が強く、需給悪化が予想されることが要因とされる。大豆ミール価格の指標となるシカゴ商品取引市場の大豆ミール先物(7月期近)の価格は7/5時点で1米トン(約910kg)あたり約452ドルとなっている。これは3月に付けた480ドルの高値からやや下落したものの、依然として高値圏にとどまっている。大豆ミールの国際価格の上昇等を受け、国内産の大豆ミール価格も上がっている。大豆ミールは配合飼料の原料として使われているが、その値上がりは配合飼料の価格にも波及すると見込まれる。
食糧をはじめ物価高の波に揺られながらも世の中は日常を取り戻そうとする動きが加速している。しかし、本格的な夏の到来とともに人の流れが増え、新型コロナウイルスの新規感染者数はまたもや増え始めている。新型コロナウイルスは徐々に勢いをつけ、再び逆襲してくるのか、またしばらく静観する必要がありそうだ。
(孫記)