この動産に注目! ― 中古自動車 ―
5月の終盤になり、気温が30度を超える真夏日も現れている。気象庁が先月発表した向こう3ヵ月の天候見通しによると、当面は暖かい空気に覆われやすく、気温が平年より高めになる確率は50%以上と予想されている。予想が的中となれば、今年の夏も猛暑と付き合う覚悟を決める必要があるかもしれないが、やはり気になるのはマスクである。全国的に新型コロナウイルスの感染者数が減少傾向になり、政府も感染症対策の一環であるマスク着用について一定の緩和を発表したものの、依然として重要な対策であると強調しており、今年の夏も結局はマスクから逃れられそうもない。
逃れないといえば、新型コロナウイルス対策の持続化給付金をだまし取った疑いである家族が逮捕されたことが報じられている。関連する給付金の虚偽申請は約1,780件、被害総額はおよそ9億6,000万円に上ると言われている。持続化給付金の詐取についてはすでに経済産業省のキャリア官僚が逮捕されるなど、不正が横行していることは以前から伝えられている。持続化給付金の支給総額は約4.4兆円に達するが、そのうち最終的に不正がどれほどの割合を占めるのか、その全貌も少しずつ明るみに出てきそうだ。
ところで新型コロナウイルスの感染が徐々に落ち着くなか、経済活動の正常化への期待が高まる一方で、産業界の代表格である自動車業界では、半導体の不足といった供給面の制約から生産が伸び悩んでおり、景気を押し下げる要因となる可能性も指摘されている。今回のテーマである中古自動車も新車の製造・供給状況に影響され、取引価格が堅調に推移している。中古自動車競売大手のユー・エス・エスのまとめによれば、2022年4月時点の平均落札価格は92万9,000円(前年同月比18.4%高)と、23ヵ月連続で前年同月比プラスとなった。平均落札価格は2月に一時100万円を超える水準まで上昇する場面もあったが、足元はやや下がっている。ただ、新車の納期遅れが長期化するなか、中古自動車の相場も当面は強含み傾向で推移することが予想される。
あと1ヵ月もすれば、2022年もいよいよ折り返しとなる。政府は来月にも98の国と地域から外国人観光客の受け入れを再開する予定であるが、約2年に及ぶ入国制限を緩和するという大きな方針転換は1つの象徴ともいえる。
これをきっかけに新型コロナウイルスの呪縛から解放される日が早く訪れることを願いたい。
(孫記)