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2022-04-04 注目動産

この動産に注目! ― ノリ ―

 年度の境目に差し掛かり、東京の桜も新年度に合わせているかのように満開を迎えている。東京に適用されている新型コロナ対策のまん延防止等重点措置が解除されてから約2週間が経ち、第7波の感染拡大を警戒する声もまた出てきている。2020年以降の新型コロナウイルス感染者数の推移グラフをみると、第1波を「さざ波」で例えるなら、第6波はすでに「怒涛」ともいえるレベルに達しているが、感染の主流が「オミクロン株」からさらに感染力の強い「ステルスオミクロン株」に変わりつつある中、グラフ上では新たな記録を打ち立てる第7波が現れてくることももはやあり得ない話でもなさそうだ。

 波と言えば、先月ロシアによるウクライナへの侵攻について、一時ウクライナがロシアという大きな波に一瞬で呑み込まれるかと思いきや、1ヵ月経過した今も戦いが続いている。最近になって、ロシアは作戦の第1段階の主な課題が達成されたとしてウクライナ東部への攻撃に注力すると言い出している。当初より軍事作戦の規模が縮小傾向になり、押し寄せた攻撃の「波」も多少引いたようにみえる。しかし、テレビで映り出されている町の破壊が日に日にひどくなり、燃料価格の高騰や加速する円安など、日本までもいろいろと影響を及ぼすこの戦争も早く終結してほしい。

 ところで、今回のテーマである養殖ノリについては、穏やかな波を好むと言われている。ノリは例年海水温が低い10月頃から養殖が開始し、11月頃から翌年の4月頃まで収穫が行われる。今年度のノリ生産については、主要産地の有明海や瀬戸内海等において赤潮被害や栄養塩不足などによる色落ちなどの影響で生産量が落ち込み、3月中旬頃の生産枚数は56億枚と前年同時期と比べて4%減少したと伝えられている。新型コロナウイルス感染症拡大の影響でコンビニなどでのおにぎりや弁当需要が減り、ノリの消費も大きく減少しているため、生産量の減少に伴うノリ価格の上昇は今のところ、小幅に抑えられている。しかし、ノリメーカーにとって、養殖ノリ価格の上昇だけでなく、輸送費や人件費なども高騰する中、今後も値上げを続けていく可能性は否めない。

 感染症の波、戦争の波、値上げの波……最近はやたらと激しい「波」が多い。せめて満開する桜の下でおいしい弁当でも食べて心の波を穏やかにしたいが、近所の花見名所は今年も相変わらず、花見に伴う飲食を制限している。来年のこの頃は、制限や自粛とお別れすることができるかと考えると、筆者の心もまた波が立ってきている。

(孫記)

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