この動産に注目! ― ウニ ―
師走も残りわずかとなり、いよいよコロナ禍の中で2度目の年越しを迎えることとなる。去年のこの頃はファイザーなどが開発した新型コロナワクチンの緊急使用承認のニュースが伝えられたばっかりだったが、1年が経った今頃は日本国内のワクチン接種率はすでに8割弱に達しており、これに伴って新型コロナウイルスの感染状況もだいぶ落ち着いてきている。しかし、ウイルスも簡単に引き下がらず、最近になってオミクロン株に変身して盛り返そうとしている。ウイルスとの戦いがまた1年延びるのか、落ち着かない中で新年が近づいている。
落ち着かないと言えば、ここ1年で取り上げた様々な動産の価格はいずれも落ち着かない動きを見せた。コロナ禍の影響で、世界全体において物の生産と需要のバランスが崩れたうえ、物流の混乱が響き、物価が押し上げられる展開となっている。総務省が24日発表した11月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は100.1と、前年同月比0.5%上昇したが、携帯電話の通信料の下落による押し下げ効果がなければ、コアCPIは前年同月比2%上昇する計算で、日銀の物価目標に到達することとなる。新型コロナをきっかけとする物価の上昇は果たして政府が掲げる賃上げ推進の実現につながるのか、来年への期待とも、不安とも言えそうだ。
ところで、年の瀬でやはり心配事はいったん忘れておきたい。筆者も年末年始にかけてどこに行こうか、何を食べようかと考えることが否応なく増えている。今回のテーマであるウニもこうした食べたいもの1つであるが、その価格動向はまたもや「落ち着かない」状況となっている。東京都中央卸売市場が発表しているウニの卸売価格(10月、円/kg)をみると、輸入品は26,734円、国産品は34,688円と、前年同月比でそれぞれ50%、63%上昇している。冬が旬であるウニだが、今年は1個当たりの身が小さく、歩留まりが悪いとされ、特に国産品の主力である北海道産は赤潮の影響で漁獲量が低迷している。年末にかけて需要が増えるほか、中国等海外向け輸出も好調で、国内の流通価格はさらに押し上げられる可能性もある。
ウニの価格がこのまま上昇し続けるなら、もはや年末食材の選択肢から外すことも考えなければいけないかもしれない。しかし、すでに家族からいろいろと 注文を付けられた筆者、来年は寅年を理由に海の幸への注文を肉類に変更する許諾を取り付けることができるのか、今年の試練はまだまだ続きそうだ…
(孫記)