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2021-08-23 注目動産

この動産に注目! ― 国産製材 ―

 開催まで問題が絶えなかったオリンピックはあっという間に終わってしまい、日本選手団が過去最多のメダル数を獲得し、オリンピック組織委員会の様々な失態による影響も払拭して大活躍を見せた。しかし、アスリートたちに元気づけられるのも束の間、デルタ株で勢いを増している新型コロナウイルスによる感染が急速に拡大し、周りでは感染者に関する話題も多くなってきており、感染リスクは確実に身近になってきている。絶えずに過去最多を更新する日々の感染者の数をみていると、マスクなしでガッツポーズをしながら雄たけびすることもテレビ中のスポーツ選手に限るという現実が、改めて思い知らされた。

 オリンピックが終わると、いきなり長雨の天気となり、九州地方を中心に各地で河川の氾濫や土砂災害が発生している。九州では今年5月、統計上2番目早かった梅雨入りしてからしばらく晴天が続き、ようやく本格的な梅雨空となったのが6月中旬以降で、2度目の梅雨とも言われた。今度の長雨は3度目の梅雨になったようで、報道をみると非常に珍しい気象状況だという。近年は九州地方で豪雨による被害が頻発しており、大規模な災害も起きている。コロナ禍に自然災害、残り4ヵ月ある2021年は「前途多難」にならないのか、なかなか心配である。

 災害と言えば再建は大事なキーワードになってくるが、今回のテーマである建築用の国産製材も関連している。日本国内で使用される製材は主に輸入品であるが、最近は米国による建築需要の拡大に伴う木材相場の高騰を受け、輸入木材の入荷が減少し、代替品として国産製材の需要が大幅に増加している。しかし、国内の製材所の生産能力や、原料丸太の供給能力はすぐにも大きく増やすことができず、供給不足はしばらく続くとみられる。農林水産省の「木材価格統計調査」によれば、すぎ正角(乾燥材、3m×10.5cm角)の価格は7月時点で1立方メートルあたり126,700円と、前年同月比約90%上昇している。また、ひのき正角(同)の価格は同151,200円と、前年同月から約79%上がっている。製材需要の増加とともに原料となる丸太の価格も上がっている。上記の調査では、すぎ中丸太(経14~22cm、長3.65~4.0m)の価格は同17,800円、ひのき中丸太は同30,100円となっており、前年同月と比べてそれぞれ約50%、約95%高となっている。足元では木造住宅の建築着工について増加傾向もみられるなか、供給不足で製材や原料丸太の価格も当面は高止まりと思われる。

 新型コロナウイルスの感染が拡大した直後、経済活動の停滞で多くの生産用素材の価格が一時的に下落していたものの、その後はすぐにも回復し、ここにきて上昇傾向がより鮮明になっている。世界中でワクチンの接種が進み、経済活動も正常化に向かいつつある中、物価の上昇はさらに勢いを増し、日常生活にも影響が広がらないのか、最近じわじわと上がる食品価格をみると、先行き見通しはあまり楽観できなさそうだ…

(孫記)

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