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2021-06-17 注目動産

この動産に注目! ― 銅電線 ―

 今週の週明けから関東地方はようやく梅雨入りし、ここ数日の東京の天気も梅雨らしくぐずついた状況が続いている。沖縄や九州などでは、例年より早く梅雨入りしたことから、一時関東地方も同じく5月中旬ごろに梅雨に突入するのではないかと思ったら、結局は意外にもここ10年で一番遅い梅雨入りとなった。しとしととした天気が続く中、東京における日々の新型コロナウイルスの感染者数は徐々に落ち着いてきており、10%台まで上がってきた1回目のワクチンの接種率とも相まって、予定通り6月20日を持って緊急事態宣言が解除されることも期待できそうだ。

 緊急事態宣言が無事に解除されたら、オリンピックの開催までの期間もいよいよ残り約1ヵ月となる。選手や関係者を含めて約10万人弱の人が来日すると言われており、大会の開催に伴って感染者数が再び増加するとの懸念はなかなか拭えない。ただ、呪文のように繰り返されている「安心・安全なオリンピック」という前提が成立であれば、かなり身近なところでこのスポーツの祭典を楽しめることについてはまったくワクワクしないわけでもない。

 ところが、今回のテーマである銅電線の価格についても需要家をワクワクさせる動きとなっている。一般財団法人経済調査会の調べによれば、住宅の配線などに使われるIVケーブル(600V単線2.0mm)の5月時点の価格は1メートルあたり39.7円と、年初から約4割も上昇している。世界全体の景気回復や電気自動車向け需要の増加期待などから銅の国際価格は急騰しており、日本国内の銅取引価格の目安となる銅建値(JX金属)は5月時点で1トンあたり約116万円と、史上最高値を更新している。世界の銅加工業者が作る国際銅加工業者協議会がこの頃、新型コロナウイルスで停滞した世界経済の立ち直りから銅需要が増加し、2021年については需要が前年比4.9%増加するとの予想を示した。一方、2021年の銅生産量については前年比で微増にとどまり、年間を通じて銅の供給が不足すると見込んでいる。こうした影響から、国内の銅電線価格も一段高となる可能性が高く、需要家を悩ます状況がしばらく続きそうだ。
 
 米国をはじめ世界の主要国でのワクチン接種が順調に進んでおり、経済の活性化に向けた取り組みが各国で活発になってきている。日本でもオリンピックをを通じてコロナ禍で暗くなっている気分をリフレッシュするのも悪くないかもしれない。最近はオリンピックについて「安心・安全」というスローガンがついて回るが、そもそも当初の大会ビジョンは「Discover Tomorrow」となっているはずである。コロナ禍による影響がまだまだ続く中、やはりそのビジョンは聞こえの良いキャッチコピーで終わらないでほしい。

(孫記)

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