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2021-05-17 注目動産

この動産に注目! ― グラフィックカード ―

 緊急事態宣言下のゴールデンウィークはあっという間に過ぎ、休みが明けてから新型コロナウイルスに関する状況が好転する気配もなく、東京では連日千人前後の感染者が出ている。一方で気温の上昇につれて、出かけたくなる天気も増えており、筆者も含め「緊急」に慣れてしまった人々にとって外出の誘惑が日に日に強まっている。しかし、爆発的に感染が拡大しているインドで流行っているインド型の変異ウイルスもすでに日本に入ってきており、出かける誘惑と家で大人しくしろという理性のバトルもいっそう激しくなりそうだ。

 ところで、約2か月後のオリンピック開催を控え、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会と国際オリンピック委員会は、大会に関するルールブックの初版を発表したことが伝えられている。どうやら今回は選手への応援は「拍手・歌・声援なし」で行うことが決められた。オリンピック開催に反対する声も徐々に増える中、一度ぐらい会場で観戦してみようと考えていた筆者にとって、果たして「静かなる」会場に行く機会、かつ甲斐はあるのか、よく見極める必要があるかもしれない。

 「静か」に開催されるオリンピックと対照的に、今回のテーマであるグラフィックカードは、戦闘ゲームなどを楽しむために欠かせないパソコン部品としてどちらかというと、騒がしいイメージと結び付きやすい。巣ごもり需要によるゲーム関連のニーズが伸びる中、グラフィックカードの販売が好調に推移している。また、ビットコイン等の仮想通貨の急騰を受け、グラフィックカードの高い計算能力を利用して仮想通貨を「採掘」するニーズが高まっていることも需要を押し上げているようだ。一部メディアによれば、高性能グラフィックカードのうち、2月から価格が2倍ほど上昇したものもあるという。グラフィックカードの画像処理や計算に使われる半導体の製造を手掛ける米エヌビディア社は、グラフィックカード関連需要に支えられ、2月に発表した昨年の決算では、過去最高の売上高と純利益を記録したことも明らかになっている。巣ごもり生活が長引く中、好調な需要でグラフィックカードの価格も当面は堅調に推移しつづけるとみられる。

 この頃、半導体の塊であるグラフィックカードをはじめ、世界中で半導体の供給が需要に追い付かず、大きな問題となっている。特に半導体を多く使う自動車産業では減産に追い込まれるほど大きな影響を受けており、世界中で半導体争奪戦も起きている。こうした状況の中、半導体のファウンドリー最大手のTSMCの本拠である台湾では新型コロナウイルスの感染が急拡大していることが伝えられている。これは半導体不足に追い打ちをかけ、泣き面に蜂という状況になるのか注目されそうだ。

(孫記)

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