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2021-02-16 注目動産

この動産に注目! ― シラスウナギ ―

 東京の「緊急事態宣言」が延長されてから早も1週間が経ち、日々の新規感染者数は徐々に減っており、3月になれば緊急事態の解除は期待できるかもしれない。寒さはだいぶ和らぎ、春の息吹を感じるようになっているなか、冬の乾燥を好むウイルスにとって暴れにくい環境になりつつあることもありがたい。厚生労働省は14日に米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンの製造販売を特例承認し、医療従事者を対象とするワクチンの接種は今週にも始められる予定となっている。これで新型コロナウイルスとの戦いの「終わりの始まり」はやっと少し近づいてきた気がする。

 「終わり」と言えば、先週土曜日には、福島県沖を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生したが、気象庁はその地震について2011年3月の東日本大震災の余震との見解を示している。なんとあの大地震は発生してから約10年 経過した今でもまだ終わっておらず、やはり10年といっても、地球にとってはほんの僅かな時間に過ぎない。新型コロナウイルスとの付き合いについても筆者はだいぶ長いと感じているが、思えばその出現から今までまだ1年程度しかなく、心配しながら過ごす日々が早く終わってほしいと願っても、地球の時間から考えると、すんなりいかない可能性もゼロではなさそうだ。

 ところが、すんなりいかないことなら、今回のテーマであるシラスウナギ(ウナギの稚魚)もその1つとして挙げられるかもしれない。日本で食べられるウナギは主に「ニホンウナギ」という品種であり、例年年末から翌年の春ごろにかけて稚魚であるシラスウナギが漁獲され、養殖場で一定期間にかけて成長させてから出荷される。ニホンウナギは資源の減少ですでに絶滅危惧種に指定されており、シラスウナギの漁獲量も低迷している。特に2018年~2019年漁期においては漁獲量が大幅に減少たことから、ウナギの生産や流通で混乱も起きている。ただ、2020年~2021年漁期にかけてシラスウナギ漁は一転して2年連続で豊漁となり、相場も昨年12月時点で1キロ当たり約130万円と、7年ぶりの安値を記録した。未だに生態に不明点が多いだけに、豊漁となった原因はまったく解明できず、足元の回復傾向は今後も続けていくかどうかは分からないままとなっている。

 筆者はウナギが好きでも、最近はスーパーで蒲焼1尾あたり約2千円で売られるようになっていることから、気軽に購入することは難しくなっている。ここ2年間のシラスウナギの豊漁で高騰していたウナギの小売価格も下がる可能性が出ていると言われているが、果たして今年の夏はウナギを食べながらオリンピックの試合を観戦できるのか、今後の「すんなり」した展開を期待したい。


 (孫記)

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