2021年はどんな年?
本コラムを執筆している12月29日で筆者は仕事納め。1年前はカレンダーの並びの関係で年末年始のお休みをまとめて取れた方も多かったと思いますが、今年はカレンダーの並びは今一つでも別の理由で年末年始の休暇が長めとなる方も多いかと思います。
いうまでもなく、新型コロナウイルスの感染拡大によるものですが、とにかくこの1年はコロナ一色だったと言っても過言ではないでしょう。
昨年まで12月のコラムは1年間を月別に振り返っていましたが、今年は毎月のテーマの中心は常にコロナであり、コロナウイルス感染拡大の中で感じたモノの流れや世の中の変化について触れてきました。
思えば、年初に中国武漢で感染が広がっているというニュースが流れ、1月のコラムでは中国での感染者が8,000人近く、死者が約170人、国内の感染者は200人に満たず亡くなった方もその時点ではいないという状況でした。その時点では、現在の感染状況は全く予想ができず、中国と米国の貿易戦争や米国大統領選挙の行方や東京オリンピックの経済に与える影響に注目していました。
しかし、その後の状況はご存知のとおり。オリンピック・パラリンピックは2021年に延期になりましたし世界中の感染者は既に8,000万人を超え死亡者も年内に180万人を超えることは間違いないでしょう。世界の人口が77億人と言われているので10人に1人以上が感染しているということになります。比較の対象とされることの多い1918年から1920年にかけて世界中で大流行したスペイン風邪は当時の世界人口18億人の3分の1が罹患し、5,000万人以上が死亡したといわれています。当時と衛生環境面や医学技術の進歩の状況は異なるにも関わらず1年足らずの間に世界人工の1割以上に感染が拡大していること、変異種の発現、ワクチンの開発状況も含めて気になるところです。
本コラムではモノやお金の変化の兆しについて触れるようにしてきましたが、2020年は1年を通してモノの動きとお金の流れや価格は新型コロナウイルスの影響を大きく受ける年となりました。
年の前半は、インバウンドの急激な減少と未知のウイルスへの警戒感からか経済活動は全般的に低迷、価格も低下するものが多い一方、保存が効く食品や消毒剤、マスク、トイレットペーパー、ティッシュペーパーなど一部の品目は品不足になり価格が高騰しました。しかし年後半には感染拡大をほぼ完全に抑制した中国をはじめとする一部の国や地域で経済活動は回復しつつあり、国内でも「新しい生活様式」の定着に伴い、消費も回復傾向にあります。牛肉の価格も高止まりしており、豚肉についても同様です。原油価格も4月に大きく値を下げましたが、現時点では今年の2月の水準にまで回復しており、金も8月に史上最高値をつけ、引き続き高値を維持しています。スーパーマーケットの店頭も店員さん、来店客がマスクを着用している以外は1年前と何ら変わらない状況に戻っています。
年末にかけて過去最大規模の感染拡大の状況が続いており、Go to トラベルの停止により観光地の人手は減っているようですが年明けには非常事態宣言明けのような落着きを取り戻してほしいと心から願います。執筆自転ではまだまだ道半ばですが、来年の今頃には有効なワクチンが開発され、そういえば1年前は大勢の人が亡くなった感染症があったな、と語られる日がくることを信じています。
2017年から、毎月月末配信分のコラムを担当させていただき今回で4年経過しましたが、2020年はそれまでの3年とは全く異なる先の予想がつかない1年となりました。2021年は新型コロナウイルスの脅威から解放され、できる限り従来の生活や経済環境に戻ることを心から期待したいと思います。
今年1年、当コラムをご愛読いただき、ありがとうございました。執筆者一同(田中、孫、堀)深く感謝申し上げます。皆様、どうぞ、よいお年をお迎えください。
(堀記)