大統領選挙
秋分の日を過ぎ、一段と日の出は遅くなり日没は早くなりと個人的には物寂しい季節になってきました。朝晩も一気に「涼しい」を通り越し「うすら寒い」くらいで、冬はもうすぐ、今年もあと2ヶ月、鍋料理、熱燗、お湯割りの焼酎が恋しい時期になってきました。
9月の本コラムで指摘していたとおり、10月中旬には新型コロナウイルスの国内感染者数は中国を越えました。クルーズ船での感染者を含めた国内感染者の累計も10万人を超えたとの報道もありました。
北半球で秋から冬に近づいてきたからなのか、感染対策の一次的な緩みなのか原因は不明ですが欧米での感染者が増加し、深刻な状況となっています。フランスやドイツでは再びロックダウンが再開されました。
世界各地で繰り広げられているハロウィーンイベントも昨年とは様変わりし、「新しい様式」となっているようですが、12月のクリスマスシーズンもこれまでとは様変わりしたものとなるでしょう。
国内では2021年の仕事始めも4日ではなく成人式開けの12日から推奨するとか、いやいや休暇や出勤は分散するのがいい等、様々な意見が出ています。いずれにしても明確になっているのは新型コロナウイルスの感染抑制と経済回復・景気活性化をどう両立させていくのかという点に尽きると思いますが、今までのところ日本や東アジア諸国については世界的にみても高いレベルを維持しているようです。
そして、このコロナ禍の中、今後の世界経済を左右するうえで最も重要な米国の今後の4年間をリードしていく大統領選挙が11月4日(日本時間)に行われます。
現時点では民主党のバイデン候補が優位との報道が多いようですが、共和党のトランプ大統領が再選を果たすのか、バイデン候補が新大統領になるのか。ロイターの報道によれば期日前投票者が8500万人を超え、投票率も2016年を上回っているなど、米国民の関心も高いようです。選挙後の開票手続きをめぐって様々な問題が起きる気配がありますが、前回同様もつれにもつれるのか、それとも一方的な勝負になるのか。個人的には米国民の分断が広がるのか逆に一致団結するのかが、選挙の勝敗より気になります。
株式、為替、商品市場等は既にバイデン新大統領誕生を織り込みつつあるようですが、前回同様、想定外(今回はトランプ氏の再選)の結果となった場合は市場は大きく動くでしょう。株価や為替、原油価格等を通じた日本経済への波及効果が気になるところです。
大方の予想どおりバイデン氏が当選した場合はインフラ等の公共投資により経済への一定の波及効果を期待できる一方、トランプ大統領が再生された場合、民間主導の経済再建を果たしていく可能性が高いと思われます。そうした時に昨年の今頃、ヒートアップし現在は一時休止状態となっている中国との貿易問題(とその背景にある安全保障問題)が再燃することは間違いないでしょう。バイデン氏が属する民主党も中国当局には厳しい姿勢を示していますが、国内経済の立て直しのために強硬措置を取る可能性は低いとみています。
1か月後の本コラム執筆時には2021年以降の世界経済の見通しが少しでも明るくなっていることを期待しています。
(堀記)