コロナ禍でのサプライチェーンマネジメント
暑い日の多かった8月も今日で終わり、今年も3分の2が終わろうとしています。
新型コロナウイルスの感染状況は国内外ともに一向に終息する状況は見えません。
世界全体の感染者はこの1か月で約1.5倍増加し、2,500万人を超え、死亡者数も若干ペースは落ちているものの全世界で84万人(前月比1.3倍)を超えています。
国内の感染者数も8月に入り急増しており、7万人に接近しています。このままの勢いが続けば、新型コロナウイルスの発生源とみられる中国の感染者数を9月末には上回ることは確実な情勢です。7月の本コラムでふれたGo To トラベルキャンペーンの開始時点で対象地域から外れた東京都を対象地域にするかどうかという議論が進んでいるようですが、足元の感染状況を見る限り慎重派の意見が大勢を占めるでしょう。
28日には突然、体調不良を理由に安倍首相が退任する意向を表明しました。
野党からは経済政策やコロナ対策について安倍政権、安倍首相の実績を批判する論調が大勢を占めているようですが、この8年近く、政権が安定していたことによる経済や外交、安全保障分野での影響は極めて大きいと考えられます。28日の日経平均株価は安倍首相の退任発表後、急落しましたが、米国の株価推移を見る限り、9月中旬に決定する自民党総裁選挙で内閣総理大臣が誰に変わったとしても実体経済への影響は大きなものではなく株価も回復基調に戻るでしょう。
ウイズコロナの状況が浸透する中、実体経済の回復の足取りの重さを背景に経済活動の現場ではサプライチェーンマネジメントに関する議論が見直されています。これまで効率やコストを最優先、最適化することを目標としていたがために見過ごされてきた課題が浮き彫りになりつつあります。このコロナ禍の中でヒトやモノをはじめあらゆる分野で所与の前提条件とされてきたことが実は所与の条件ではなかったことが新型コロナウイルスの感染拡大を通じて得られた教訓と言っても過言ではないでしょう。改めて企業の経営判断の中でサプライチェーンマネジメントを再定義、再構築する必要が生じています。それは効率と非効率、生産性と非生産性、リスクとリターンといった事だけにとどまらず、格差や平等、人権、差別といった部分を含めて考慮しなければいけない時代に来ているように見えます。
世界経済や国際政治へのインパクトや日本経済への影響を考えると、11月3日に行われる米国大統領選挙の結果からは目が離せませんが、最近の米中両国で行われている議論に関する報道を見ると、米中関係の狭間で日本の相対的なプレゼンスがあがっていることは間違いないでしょう。それは日本が世界中のどの国よりも米国と中国との関係が政治的・経済的・地政学的に中立的かつ親密度が深いからです。
米中間の問題は2国間の問題にとどまらず、アジアや北中米、欧州を巻き込んだ変数が多い複雑な方程式に発展しますが、この方程式を解くカギを世界で唯一持っているのが日本であることは間違いないでしょう。自民党総裁もそうした視点を持つ人が選出されれば、我が国のGDPが世界第一位になることはないでしょうが、日本がサプライチェーンマネジメントの再構築を含めヒトやモノ、経済の分野だけでなく様々な分野で再び脚光を浴びる時代がすぐそこに近づくことでしょう。
(堀記)