この動産に注目! ― 銀 ―
関東地方の梅雨は、平年より11日も遅く開け、本格的な夏の暑さが訪れている。天候の変化は新型コロナウイルスにとってまったく影響がなく、日本全国における新規の感染者数はこの頃ほぼ毎日1,000人を超えている。第1波をはるかに上回る第2波に直面する中、話題の「Go To キャンペーン」はお構いなく始められている。最も多くの感染者を出している東京は一応キャンペーンの対象から外されているものの、抜け穴もあるようで、今後はさらにお盆と重なると、全国各地における人の移動が間違いなく増えていきそうだ。果たして第2波は収束に向かうのか、疑問が膨らむばっかりである。
世界全体をみても、新型コロナウイルの感染拡大が続いている。ロイター通信社のとりまとめによれば、世界の累計感染者はすでに1,900万人近くに達しており、多くの国では感染が拡大し、混乱が続いている。こうした中、GDPが世界1位と2位の米中両国は、相変わらず貿易や情報通信などの分野での応酬が続き、摩擦の激しさが増しており、世界経済の先行き不透明感も強まる一方である。各国政府は景気を下支えるため、相次いで財政・金融緩和策を打ち出しているが、実体経済のほか、金融市場にも多くのお金が流入している。今回のテーマである銀もその恩恵を受けている。
ニューヨークの先物市場では、8月6日時点の銀先物の終値(8月物)は、1トロイオンスあたり約28米ドル(1ドル105円換算で約96円/グラム)と、2013年以来約7年ぶりの高値を付けている。銀は装飾品のほか、半導体やフィルム、太陽電池等の工業用途でも多く使われるため、工業用途での需給バランスから金融市場の投機資金から受ける影響は金ほど大きくないとされる。しかし、最近は大幅に上昇した金と比べて割安感があるとみられ、投機資金も急速に流入しているようだ。田中貴金属工業を公表している銀と金の小売価格をみると、8月に入ってからの上昇幅(8月7日時点)は、銀が約27%と、金の約7%を大幅に上回っている。この傾向はいつまで続くか、注目される。
ところで、銀といえば、最近の除菌・抗ウイルス製品には銀(銀イオン)の力を謳うものが多く含まれている。新型コロナウイルスへの効果は素人の筆者には分からないが、イソジンが新型コロナウイルス感染の重症化を防ぐ ことができるなら、銀イオンの効果を信じてもいいかもしれない……しかし、新型コロナウイルスをめぐる様々な情報が飛び交い、国や地方の対策もだんだんとカオス化している中、筆者も何を信じるべきか、分別がつかなくなりそうだ。
(孫記)