Go Toキャンペーン
6月12日に沖縄で梅雨が明けた後、全国的に雨模様の日が続いていましたが、筆者が4月から常駐している近畿地区でも平年より10日ほど遅れて、ようやく本日(7月31日)梅雨が明けました。この間、令和2年7月豪雨の影響により熊本をはじめとする九州の各地や岐阜、長野、広島、島根の各県でも60名以上の方が亡くなるという災害が発生しました。被災された方々、被災された地域の事業者、農林漁業者の方々に心からお見舞い申し上げます。
先月、本コラムで峠を越したのではないかと書いた新型コロナウイルスの感染状況も改善するどころか、再び悪化の一途をたどっています。先月のコラム執筆時点では死亡者数は963名だったのが30日時点で1000名を超えてしまいましたが先月からの増加率は4%程度にとどまっている一方、感染者数は31,000人と先月末の1.7倍以上と急増しています。29日以降、1日の感染者数も1,000人を超えており、第一波と言われた今年4月を大幅に上回っています。
感染者数は増加しているものの重症患者数の増加は抑制されているとの声もありますが、5月25日の緊急事態宣言解除後の経済活動をはじめとする各種活動の再開に伴う影響が出ている事は間違いないでしょう。年齢層も広がっていることや、感染経路が不明の感染者の方が増えているのも気にかかるところです。
日本だけでなく世界全体でみても新型コロナウイルスの感染抑制・終息には程遠い状況が続いており、感染者は6月に続き、この1か月で約1.7倍増加し、1,700万人を超えており、死亡者数も67万人(前月比1.3倍)を超えています(7月31日現在)。
政府が経済活性化のために打ち出した「Go To キャンペーン」も新型コロナウイルスの感染者数の急増に伴い大きな影響を受けています。
「Go To キャンペーン」は物議を醸しながら始まったGo To トラベル(国土交通省・観光庁)、Go To Eat(農林水産省)、Go To イベント(経済産業省)の3つに大別されます。
後者2つについてはGo Toトラベルの開始時のゴタゴタの反響があまりに大きかったこと、その後も感染者数の減少に歯止めが全くかかっていないことから、8月下旬にスタートが予定されていたGo To Eatキャンペーンはもちろん、Go To イベントキャンペーンについても実施されるのは先送りされる可能性が高そうです。
東京オリンピックの開幕に合わせて設定された連休を見据えて7月22日にスタートしたGo To トラベルキャンペーンは、国内旅行を対象に宿泊・日帰り旅行代金の50%相当額を支援することとしています。支援額の7割を旅行代金の割引に3割を旅行先で使える地域共通クーポンとして付与するキャンペーン(上限は日帰り旅行が1万円、一泊あたり2万円)ととても魅力的な企画となっています。
Go To EatもGo To イベントも新型コロナウイルスの影響を大きく受けている旅行・ホテル・旅館、鉄道・航空等運輸関連、外食・レストラン等の飲食店、音楽コンサートやスポーツイベント、演劇、映画館、博物館、遊園地等を想定し、国(政府)が個人負担を軽減し事業者を支援することにより個人消費を喚起するとともに事業者の経営を支援することにより、経済の活性化と雇用維持を目的としています。
Go To関連の市場規模をみると、旅行が約15兆円、外食が約25兆円、イベント関連が17兆円、合計で60兆円近くと推計されています。日本のGDPが約500兆円、その6割の300兆円が個人消費であることを考えると、Go Toキャンペーンに関連するモノの動きはもちろん、関連する従業者の数も多いため、政府がGo To関連市場の需要喚起に力を入れる理由が良くわかります。
政府の対応に対して、時期尚早、判断が後手後手、不明確等々、批判的なコメントは多いですが、そもそも新型コロナウイルスというくらいこれまでに人類が経験したことがなく、ワクチンも特効薬も対応策も明確になっていない感染症が蔓延している中、経済活動の維持存続と安定した医療体制の維持を両立させる必要があるということをあらためて認識しなければいけないでしょうし、絶対的な解答がない中で人類の英知を結集していくべきでしょう。各人がすべきなのは、他者や他国を批判することでも政府やマスコミの発表を批判・盲信することでもなく、細心の注意を払いながら各人で対応可能なことを実行することではないでしょうか?巡り巡っていつかは自分にも回ってくるだろう、来てくれるといいなと考えながら、筆者も自分にできるささやかな経済活動を継続したいと思っています。
(堀記)