ウェブ面接
先月末に緊急事態宣言が解除され、19日には都道府県を跨ぐ移動も解除されました。これにて、新型コロナウイルスの感染拡大による前代未聞の自粛生活も、ようやく一旦の終わりを迎え、経済活動が次のステップへと移行します。待ちに待ったプロ野球も開幕し、さらには接待を伴う飲食店への休業要請も撤廃され「夜の街」も再開。ついに日常が戻ってきますね!嬉しい限りです。
一方で、いまさら”戻ってきて欲しくない”と多くの人が感じているであろう事柄のひとつが「通勤」ではないでしょうか。私自身も、長期のテレワーク生活にすっかり慣れてしまい、再び満員電車に押し込められる地獄の生活に順応できるのか?不安しかありません。何十年もの間、当たり前だった習慣をも、あっという間に崩壊させてしまう。人間の変化に対する適応能力ってあらためて凄いなあと感じる次第。
一体、どのくらいの人が私のような気持ちを抱きながら「通勤地獄」へと戻っているのか?「緊急事態宣言が解除された後のテレワークの実態についての調査結果(パーソル総合研究所調べ、https://rc.persol-group.co.jp/news/202006110001.html)」によると、テレワークの実施率は、緊急事態宣言前後で約4分の3へと減少したそうです。つまりテレワークの味を知った人のうち、約4分の1の人が、通勤地獄に逆戻りしているということ。意外に復帰組は少ないと思いませんか?このまま、テレワークが定着して行くと良いのですが。
テレワーク同様、新型コロナの影響で一気に普及したものに、オンライン採用があります。コロナウィルスの感染拡大と、企業の採用シーズンが重なったこともあって、ウェブ説明会やオンライン面接があっという間に普及しました。新型コロナが一旦終息したものの、今後も継続することを発表する企業が増えており、どうやら、採用のオンライン化は定着に向かっているとの印象です。
このような動きを受けて、早速インターネットの世界では、「ウェブ面接攻略術」「オンライン面接必勝法」などといった記事やコラムが出回り、学生たちはその対策に必至になっているようです。果たして本当にオンライン面接だけで、企業側は欲しい人材を確保することができるのでしょうか?
電話で話した印象より、実際に会ってみたら想像以上に若かった。写真で見るよりも随分と細見だったというような経験は誰しもあるはず。芸能人やスポーツ選手も、「テレビで見るよりも小さかった」。や、人間ばかりではなく「札幌の時計台は思ったよりも小さかった」「F1カーは生で見ると想像以上に速かった」こんな話は尽きません。いわば人間の想像力なんてこの程度。ウェブ会議は多少の情報量が多いものの、やはり実際に会ってみるのと、カメラ越しの印象のギャップはどうしても存在します。ITの技術が進化し、奥行きや匂い、質感みたいなものが伝わるようにならないと、この差は埋められないかもしれませんが、WebRTCなどの規格が進んでも、この分野の研究や開発が進んでいるようには思えません。
それでも一流企業が、オンライン採用に積極的なのは何故でしょう?そもそも企業は、採用方法の主流になっている「面接」という手法そのものに、多くを期待をしていないのかもしれません。もともと、短時間の面接で相手の人柄や性格などわかるはずもなく、ある程度のクオリティとレスポンスで質問に応えられれば十分程度の見方なのかもしれませんね。
だからでしょうか?私の息子も就活生であり、毎日のように隣の部屋からオンライン面接をしている声が聞こえてきます。そんな息子が部屋から出てきた姿を見ると、上半身はネクタイを締めているものの、下半身はパジャマのまま。息子いわく「どうせカメラに映らないから関係ない」と。学生側も、その程度にしか考えていないのかもしれません。そんなものなのかな?
(田中記)