この動産に注目! ― 紙 ―
テレワークを開始してから早も1ヵ月以上経っており、テレワーク用のパソコンの反応スピードには未だに慣れないこと以外、在宅で仕事をすることに対する違和感はだいぶ薄らいでいる。一日の活動範囲はだいたいパソコンを 中心とする半径1~2メートルの半円形にとどまり、在宅太りとの闘いはし烈さを増している。気温は上がり、気持ちよさそうな青空を見上げると、外出したい誘惑に負けそうな気持ちも日に増して膨らんでおり、「緊急事態」と の付き合いの終わりが1日も早く訪れてほしい。
テレビニュースを見ると、海外ではすでに多くの国が経済活動の再開に向けて警戒態勢を緩めており、新型コロウイルスの勢いも多少衰えてきているように見える。週末に食糧を調達する際には、通り過ぎる薬屋さんの店先にはマスクがちらほら見られるようになり、ティッシュペーパーに一歩遅れてトイレットぺ―パーの在庫も元通りの状態になっているなど、筆者の周辺でも新型コロナウイルスの流行前の様子を思わせる情景が戻りつつある。とはいえ、マスクが外せる日はいつになるのかも分からず、先の見えない日はまだ当分続きそうだ。
ところで、ティッシュペーパーやトイレットペーパーといった衛生用紙が一時需要が急増し、品薄になったものの、今回のテーマである紙製品全般については、むしろ厳しい環境に立たされている。学校の休校や、テレワーク、自粛に伴うイベントや旅行の減少などで、印刷やコピー等に使う印刷・情報用紙に対する需要が急減しており、国内の出荷は大幅に減少している。日本製紙連合会の公表データによれば、3月時点の国内の紙・板紙の出荷はトイレットペーパーなどの衛生用紙を除いてすべての種類が前年同月比で減少しており、印刷・情報用紙に関しては前年同月比16.2%の減少を記録している。一方、印刷・情報用紙の価格は供給の減少から、2018年末から2019年の初めごろに1~2割値上げされており、足元も高値圏にとどまっている。需要が低迷が長引けば、価格への下げ圧力が強まる可能性もあり、今後の動向が注目される。
新型コロナウイルスの影響で世の中の経済活動が減速し、これまで慣れていた生活リズムも一気にブレーキがかかっている。これによっていろいろな問題が起きており、誰もが対応に追われている。一方、動きが遅くなったことで、自分や周りをじっくり見つめなおす人も少なくないと思う。再びエンジンをふかして生活をもとのテンポに戻すタイミングが来る前に、今後のためになるヒントはあたりに転がっていないか、筆者も少し目を大きくして探してみたい。
(孫記)