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2020-03-31 業界動向

コロナショック(その3)

 先月のコラム執筆時点(2月28日)では新型コロナウイルスの感染者は82,790人、死者は世界中で2,817人と1月からの1ヵ月で感染者は10倍以上、死者は16倍以上に増加しました。 しかしその後もコロナショックは一向に収まる気配を見せるどころか、感染者数は全世界で78万人以上(1ヵ月前の10倍近く)、死亡者数は3.7万人以上(1ヵ月前の13倍以上)となり先月までの楽観的な風潮は大幅に後退し、パンデミック(世界的大流行)の様相を呈しています。

 中国での感染者は現状約86,000人(1ヵ月前は約78,000人)と感染拡大は収まってきましたが、米国や欧米諸国ではこの1か月で感染者数は爆発的に拡大し、本コラム執筆時点で米国の感染者数は中国の感染者を上回り世界最多の約16万人となっています。感染者が急拡大している国として先月も挙げたイタリアでは感染者数が10万人を超え、死亡者は世界最多の1万人を超え、医療体制が崩壊しているとの報道も目にします。(3月31日現在 https://www.worldometers.info/coronavirus/

 欧米諸国ほどの爆発的拡大とまではいかないものの、日本は感染者数が1ヵ月前の7倍弱の約1,900人、死亡者数が54人となっています。東京都の小池都知事が首都圏(神奈川・千葉・埼玉・山梨)の知事とテレビ会議を開き、各地域の住民に不要不急の外出自粛を呼び掛ける共同メッセージをまとめるなど、感染拡大を抑制する動きが活発化する中、コメディアンの志村けんさんが29日に新型コロナウイルス肺炎により亡くなりました。世界中で要人や著名人が新型コロナウイルスに感染したとのニュースを目にするたびに、他人事ではないということを感じます。

 コロナショックの影響は多方面に現れ始めていますが、国内外ともに先月までの想定より遥かに厳しい見通しを、しかも長期間に渡って立てざるを得ない状況となっています。
 自動車メーカーをはじめとする製造業では工場の操業を停止する動きが世界的に拡大していますし、個人の分野でも消費の冷え込みが大きくなっています。

 3月24日に発表された百貨店の2月の売上高は前年同月比-12.2%と大きく減少しました。地域別には北海道(前年比25.8%減)、大阪(同21%減)、京都(同18.4%減)での落ち込みが大きいですが、3月は東京を含む三大都市圏での落ち込みがさらに大きくなることが予想されます。商品別には化粧品(前年比26.4%現)、家具(同21.9%減)、婦人服・用品(同17.8%減)の落ち込みが大きくなっていまあう。またインバウンド消費については、前年同期の34.6%と前年実績の三分の一にまで落ち込みました。3月中旬以降は上述した行政からの要請に基づき臨時休業を実施している百貨店の店舗も多数あることから、3月の実績はさらに落ち込むことは確実でしょう。

 マスクや衛生用品、保存食品や飲料等、個人消費に関連する等ごく一部のモノは特需となっていますが、大半のモノについては生産・販売が、また各種サービスも含めた経済活動全般にわたり停滞し、早期回復のめどが立たない状況です。さらには福祉や医療の現場のように異常ともいえる逼迫感が出ている業界もあります。本コラムでも折に触れ述べてきたリーマンショックについては金融業界を中心とした混乱という側面が大きかったですが、今回はより広範な経済活動全般に与える影響が大きいこと、国境や国籍等の壁を越え世界中にさらに広がる可能性がほぼ確実となっています。

 いまはただ自らが感染しているかもしれないことを念頭に置きつつ、感染を広げないいろいろな工夫を各自で行っていくしかなさそうです。
 先日、東京オリンピック・パラリンピックの1年程度の延期も正式に発表されました。世界中の選手の方々の中には落胆されている方も多いでしょうが、経済活動だけでなく日常生活も従来のように回復するとともに、アスリートの皆さんや観客も心置きなく楽しめるオリンピックが無事に開催されることを祈っています。

(堀記)

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