この動産に注目! ― ステンレス鋼板 ―
ものすごく期待していた年末年始の長い連休もあっという間に過ぎ、連休の副作用で体がすっかりと鈍ってしまい、出社しても体がなかなか思い通りに動かず、頭をフル回転させるにはいつもよりも多くのエネルギーを消費してしまう気がしてやまない。これで連休の間に新たに蓄えられた体脂肪が燃焼させられたら、それもそれなりに嬉しいことだと、ついつい妄想にとらわれる筆者は、現実がそう甘くないことも十分承知である。
今回の年末年始の連休は長かったものの、カルロス・ゴーン氏の大逃亡劇がさぞハリウッドの大作映画のような出来栄えで、テレビ報道を見ていると、少しも退屈を感じないのが、筆者にとってはこの頃なかなかないことである。日本を出たゴーン氏は、さっそく記者会見を開き、日本の司法制度への批判を繰り広げ、数十億円の大金をかけた反撃戦に出ている。日本の司法および日産という世界規模の自動車会社と、大金持ちのゴーン氏との間に行われる戦いが、今後はひそかに幕を下ろすか、それとも大作映画のシリーズ化になるのか、世界中に注目されそうだ。
ところで、今回のテーマであるステンレス鋼板も自動車というキーワードに関連している。ステンレス鋼板は、ニッケルやクロムを含む合金鋼であり、主要原料のニッケルの相場変動から価格が変動する傾向がある。ニッケルの国際価格は昨年夏から秋にかけて値上がりする動きだったが、秋以降はステンレス鋼板の主な需要家である自動車や機械業界の需要が低迷する中、ニッケルの価格も下げに転じた。これを受け、アジア市場を中心にステンレス鋼板の価格は軟調に推移する展開となっている。一方、日本国内のステンレス鋼板市場は、アジア市場と比べてニッケル相場から影響を受けるタイミングに一定の時間差が存在しているため、足元はアジア市場のステンレス鋼板の価格と逆転した動きになっている。今後は割安な海外製品の流入増が予想され、国内のステンレス鋼板の相場にとって押し下げる要因となることも考えられる。
筆者は、年末年始においしい食べ物を食べ、テレビで流れる「大脱走」劇をみて楽しく過ごした。休みが明けてから2、3日をかけてようやく体のリブードを終えたところで、さあ頑張ろうと思ったとたんにインフルにやられ、また「連休」に入る羽目となった。しかし、同じ連休といっても、今度はお供になっているのがおいしい食べ物や楽しいテレビ番組ではなく、ただ熱や頭痛、咳、のどの痛み等の症状とおかゆである。楽しさ満載の連休の後に苦しみいっぱいの連休、果たしてこれは神様が下された啓示なのか、思い悩みながら2020年のスタートを切った筆者である。
(孫記)