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2019-12-19 Fintech

サプライチェーンの脅威

早いもので今年も残り僅か。世は忘年会シーズンの真っ只中で、夜な夜な飲み歩いている人も多い筈。そういう私も、歳を重ねるごとにお付き合いの幅が広がり、参加しなければならない忘年会の数が増えるばかり。お酒は好きなほうで、宴席も苦手ではないのですが、連日の忘年会で睡眠時間は奪われ、比例してお財布の中身も寂しくなるのは少々辛い…。また、どういう訳か幹事を期待されている会が多く、毎年この時期になるとスケジュール調整とお店選びで頭を悩まさなければならないのも、なかなか辛いものです…


そんな私のような、世の幹事役たちがお店選びに苦労している一方で、飲食店側も、増加する無断キャンセルに戦々恐々としているようです。最近、飲食店の無断キャンセル問題がメディアで多く取り上げられています。経済産業省は昨年、委託調査事業のひとつとして、飲食店における無断キャンセルへの対策をまとめた「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート(※1)」を発表しました。本レポートでは、国内のNo show被害額は推計年間2,000億円にも上ると伝えています。飲食店側からすれば、どこの誰か分からない人との電話一本の約束だけで材料を仕込み、No showされたら全部廃棄。これだけITが浸透した世の中で、未だにこんな平易な予約システムを採用していることこそが、いかがなものかと思いますが、いずれにせよ飲食店側も、忘年会特需のこの季節は毎晩、大きな脅威と闘っているようです。


脅威といえばもうひとつ、大量の個人情報を含む神奈川県庁のハードディスクが転売された事件が発覚したことで、企業側も情報機器を廃棄するにあたって、新し脅威を考えなければならなくなりました。


今年の2月、情報処理推進機構(IPA)が公開した「情報セキュリティ10大脅威 2019(※2)」の中には、新たな脅威として「サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃の高まり」がランクインしました。サプライチェーン内で委託元からのガバナンスを効かせにくい委託先の企業が狙われることが多くあると指摘しており、業務を委託する組織は自組織のみならず、子会社や委託先のセキュリティ対策にも目を光らせる必要があると伝えています。今回の事件はまさにこの脅威といえるでしょう。今回のサプライチェーンを辿ってみると、神奈川県庁は富士通リースにハードディスクを返却。富士通リースはブロードリンク社に廃棄作業を委託。ブロードリンク社でハードディスクは持ち出され、個人情報が流出しました。神奈川県庁とブロードリンク社は直接の契約関係にないだけに、対策は容易ではありません。IPAは、「業務委託や情報管理における規則の徹底」や「信頼できる委託先組織の選定」などを対策例として挙げていますが、正直どこまで防ぐことができるものか。システマティックな対策が難しい脅威だけに、各組織、各取引ごとに、最適な対策を選んで講じて行くしかなさそうです。金融機関等のセンシティブなデータを大量に取り扱う企業の情報セキュリティ担当者は、とりわけ頭が痛いですね。


話は戻り忘年会。昨今のトレンドワードに「忘年会スルー」という言葉があるようです。年末に職場などで開催される忘年会に参加しないことを、SNSなどで「#忘年会スルー」と若者がつぶやいているようです。「残業代も出ないのに、忘年会にお金出すのはマジ意味わからん」「お金払ってまで上司の武勇伝聞きたくない」「忘年会や新年会は、行きたい人やりたい人がやれば良い。」「飲みニケーションは時代遅れ」など、ネットには若者なりの意見が溢れています。私のようなオジサンは、「仕事から離れた環境で交流することも重要」「飲み会はお互いを知り、垣根を低くする良い機会」などと持論をぶちまけたくなってしまいますが、これを世はハラスメントというのでしょうね。職場で若者をランチに誘うことにすら脅威を感じる世の中。ちょっと息苦しさすら感じますが。時代の要請に合わせ、来年は自身のダイバーシティを磨いて行きたいと思います。


(※1)https://www.meti.go.jp/press/2018/11/20181101002/20181101002-1.pdf
(※2)https://www.ipa.go.jp/files/000072668.pdf

(田中記)

 

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