この動産に注目! ― タピオカ ―
夏が去り、気温が徐々に下がる中、一時期日中の活動範囲が地下に追いやられた筆者もこの頃になってようやく地上に戻れるようになり、日々の歩行でカロリーが順調に消費され、足元もなんとなく軽く感じる気がして気分は上々である。しかし、秋が深まるこの時期になっても、いまだに台風が収まる気配はなく、今週末には今年最強クラスといわれる台風19号が日本を直撃するとみられ、待ち望んだ3連休も大人しく家に引きこもることしか選択肢がなさそうだ。
台風といえば、9月に台風15号が千葉県を直撃し、深い爪痕を残したことがまだ記憶に新しい。台風15号と19号の写真を横並べてみると、19号は15号の親のようなもので、目を疑いたいほどの大きさである。まだ遠い海の彼方にあるとはいえ、その威力についてはなんとなく想像がつく。既に最近賑わっているラグビーワールドカップに関連して、2試合の中止が発表されており、今後は日本に上陸したとき、いったいどれほどの影響が出るのか、ベランダに出している荷物の片付け方法を思い悩みながら、筆者の心配は台風のごとく渦巻がどんどん大きくなっている。
ところで、今回のテーマであるタピオカも台風のような勢いで人気を爆発させている。日本で流通しているタピオカは主にタイや台湾などからの輸入品であり、タピオカ入りドリンクの大流行で輸入規模はここ数年増加しつづけている。財務省の貿易統計を確認すると、2018年に約2,928トン(約8.6億円)だった輸入量が、今年1~8月で約8,871トン(同29.7億円)になり、前年比で数量ベースで約3.0倍、金額ベースで約3.5倍の水準に膨らんでいる。また、輸入価格については、日本国内需要の拡大に伴って上がっており、2018年は1キロあたり約293円と、前年比約25%上昇している。
一方、輸入元別をみると、台湾が2018年にタイを抜いて1位となっており、台湾とタイのあとにはマレーシア、ブラジルが続いている。台湾はタピオカの原料であるタピオカでんぷんの主要生産地ではなく、基本的にタイなどからタピオカでんぷんを輸入してタピオカを製造している。しかし、台湾にはタピオカ飲料に関連する成熟したサプライチェーンが整えられており、様々な種類のタピオカを安定的に供給できることが大きな強みである。また、日本には多くの台湾系のタピオカ飲料販売店が進出していることも、日本へ
の輸出の拡大につながる要因となったようだ。
筆者の家では、家族全員がタピオカ飲料の愛好家で、冷蔵庫には解凍して即使える冷凍タピオカを常時備蓄している。今週末には、今年最強クラスの台風に襲われ、自宅で籠城する自分の姿が目に見える中、おいしいタピオカミルクティーがストレス解消に真価を発揮してくれることに大いに期待している。
(孫記)