お知らせ&コラム

2019-05-13 注目動産

この動産に注目! ― 茶 ―

 ゴールデンウィークが過ぎてからはやもう4日経過し、連休の間にはおとなしく家に引きこもったせいなのか、仕事が始まってもなかなか処理スピードが上がらず、頭は脱輪した車のようにただ車輪だけが空回りして、車体がな
かなか前へ進まない。数日の「リハビリ」を経て、ここにきて頭がようやく普通に回転するようになった気がするがものの、溜まっている仕事をさばいていくのに、思考のアクセルをより強く踏み込まなければいけなくなり、連
休前より余計に疲れてしまうのが、長い連休に持たされた皮肉な結果だったかもしれない。

 連休の終わりごろには、米トランプ大統領が突然SNSで対中関税の引き上げを表明し、東京株式市場が急落で休み明けを迎えたことも連休後のちょっとしたショックであった。米中両国による貿易交渉は一時和解への動きがみら
れ、合意に近づいていると思われただけに、急転直下の展開は世界中にとって意外であったようだ。両国の閣僚による交渉はなお続けられているものの、関税の引き上げはすでに実行に移っており、両国間の貿易戦争の激しさはい
っそう増している。日本と米国も貿易交渉を進めているが、強硬姿勢を強める米国との交渉がさらに厳しくなることが予想される中、日本にとっても、米中交渉の動きはお茶を飲みながら呑気でみていられる他人事ではない。

 ところで、お茶といえば、4月から各地で新茶の取引が始まったが、今年は春先の冷え込みといった要因からお茶の生育が遅れ、4月中旬に行われた静岡茶市場の初取引会において新茶(荒茶)の平均価格は1キロあたり8,282円と、7年ぶりの高値をつけたことが伝えられた。日本国内におけるお茶の生産では、静岡県や鹿児島県、三重県、京都府、福岡県などが生産量の多い県となっており、このうち上位3県の生産量は国内全体の約8割を占める。荒茶の価格は茶種(玉露、かぶせ茶、煎茶など)や茶期(一番、二番、三番、秋冬番)、品質によって大きく異なっているが、お茶全体については、ペットボトル飲料の需要増に連動する形で2004年ごろまで上昇傾向が続いた。しかし、その後は需要の停滞により価格も調整基調となっている。足元では、生育の遅れで荒茶価格が一時的に上昇したものの、4月以降の気温は例年を上回るとの予想もあり、出荷量の回復に伴って高値となった取引価格も落ち着く可能性が高いとの見方が多いようだ。

 筆者はリーフ茶が好きで、日本茶や中国茶、緑茶や紅茶、産地や種類にこだわらず、手あたり次第で飲んでいる。急須などに入れて飲むリーフ茶は、便利でぐいぐいと飲めるペットボトルと比べて手間がかかるものの、その分、ペットボトルで味わえない格別なおいしさがあると思う。今の世の中も5GやらIoTやらの技術進歩でどんどん便利になり、余計な時間がかからなくなった分、物事が進むスピードもますます速まっている。しかし、こうした便利さは人々にとって本当に楽しさにつながる結果になるか、淹れたての紅茶を飲みながら急に思う筆者である。

(孫記)

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