お知らせ&コラム

2019-02-20 Fintech

Jコインペイ

このところSNS上での、いわゆる「不適切動画」のニュースが後を絶ちません。今月はじめ、回転寿司チェーン店で、アルバイト店員が一旦ゴミ箱に捨てた魚の切り身を拾いなおし、まな板に載せなおした動画が投稿され批判を浴びました。その後も、コンビニ店舗で商品のおでんを口に入れてから戻す動画や、ファミレスの厨房で調理中の炎でタバコを付けて喫煙する動画。さらには、カラオケ店の厨房でから揚げを床に擦り付ける姿、牛丼チェーン店の調理場での悪ふざけ、コンビニ店舗で商品の袋やキャップを舐める姿、定食チェーン店では下半身を出して・・・軽率な動画の投稿は、社会に批判され、訴訟リスクを負うばかりでなく、ネット上ではあっという間に実名が明かされ、家族の生活にも影響が出るほどの行為。悪ふざけでは済まない大きすぎる代償を払ってでも投稿を重ねる若者の気持ちが、若者と呼ばれなくなって数十年経ってしまった私には全く理解できません。

「不適切動画」と同様に相次いでいるのが、このコラムでも何度も取り上げているQRコード決済サービス。今度は、みずほフィナンシャルグループが「Jコインペイ」という新たなQRコード決済サービスを始めるようです。「Jコインペイ」は、3月25日から順次導入開始され、千葉銀行や西日本シティ銀行をはじめ、地銀全体の約半数にあたる50行が参加予定とのこと。これまでのネット系企業が提供するサービスと趣が異なり、「銀行が作ったスマホ決済」ということで、関係者の間では「キャッシュレス化が加速するのでは」と、大きく期待が膨らんでいるようです。

確かに、銀行が提供するとなれば、銀行窓口や渉外先でノルマを抱えた銀行員からモーレツに勧められ、(銀行信者の高齢者や、借入があって断り切れない人を含めて・・・)新たな客層を切り開くことになりそうです。また、従来はQRコード決済や、ネット系企業のサービスに対して不安感を持っていた人も、「銀行が作ったサービスならば安心!」とばかりに、使い始める人が出てくるかもしれません。果たして関係者が期待するほどのインパクトをもたらせるものなのか?

利用者目線で言えば、とにかくQRコード決済は種類が多すぎです。各社のプロトコルがバラバラなので、店頭で都度、使えるサービスを選ぶ必要があるため、便利には程遠い状況。クレジットカードのように、カード会社や種類は沢山あっても、利用者が気にするのは、VISA/Master/JCBが使えるかどうかだけで、大抵はそれさえも気にする必要なく、全国のほぼ全ての加盟店で決済できると快適なのですが。QRコード決済も、いずれは数社に収斂されるのでしょうが、早くそんな時代がこないものでしょうか。今回は約半数の地銀が参加することで、デファクトを期待する声も大きいようですが、ゆうちょ銀行、SMBC、MUFGの大手各行は、それぞれ独自路線でまとまりなく。対するネット企業系も、資金力を活かしたキャンペーンを連発し、必至のシェア争いを続けている真っ最中。利用者の利便性はそっちのけで、金融機関系もネット企業系も”どっちもどっち”。

話は戻り「不適切動画」。多くのメディアは、バイトテロの若者を悪者にし、企業側を「被害者」とする傾向にありますが、果たしでそうなのでしょうか?冒頭で述べたように、投稿する若者の気持ちは理解できず、糾弾されてしかるべきとは思います。一方で、安価な労働力を求め、彼らを面接して雇用し、管理/教育すべき立場であるはずの企業側は、謝罪会見で頭を下げ、客離れが多少進んだからといって、同情されるべき対象とはならないと思います。こちらの若者も企業も”どっちも、どっち”なのではと思います。

(田中記)

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