2019年はどんな年?
本コラムを執筆している12月28日で年内は仕事納め。2019年の本格的な仕事始めはカレンダーの関係で1月7日からとなる方も多いのではないでしょうか?
年が明けた2019年は4月30日までが平成31年で、5月1日からは30年続いた平成に続く次の年号に代わることが決定していますが、どんな年号になるのか楽しみにしています。
2017年から、毎月月末配信分のコラムを担当させていただき今回で2年経過しました。今年も毎月月末の締め切りに向けて、「今月はどんなことを書こうかな。」と悩んでいましたが、昨年に比べると世界的な経済の動きや変化はより大きかった(激しかった)印象があり、2017年に比べると少なくともテーマの選定は比較的、容易だったような気がします。
今回は2018年の11回のコラムで私がコメントした後の動きや現在、考えていることを中心に触れていきたいと思います。
1月はふるさと納税について触れました。総務省のホームページによれば、2018年の納税実績は前年比約30%の増加になっているようです。私も昨年に続いて仕事や個人的に何らかのつながりのある複数の自治体へのふるさと納税を実施しました。返礼品についても家族の意見を参考に、昨年とは異なるものを選んでみましたが、ふるさと納税の専用サイトに掲載されている各自治体それぞれの名産品・特産物の扱いが増えたような気がします。
経済学的な効果についてふるさと納税という制度を疑問視する声や、地場特産品とは関係ないものを返礼品にしたり、過度な返礼品を設定したりといった話もありますが、この制度がなければ知りえなかった地域や特産品を認識することができること、当該特産品に関与する企業や従業員の方にとって一定の経済効果があることを考えると制度自体を完全に否定することはできないと考えています。
2月は家電見本市を通じて家電や自動車をはじめとする身近な製品へのAI技術の導入や機能の複合化についてコメントしました。
テレビドラマ「下町ロケット」でも無人農業機械の開発が取り上げられていましたが、少子高齢化、人手不足が叫ばれる中、自動運転技術や遠隔操作に関する技術は今後、ますます進むことでしょうし、その技術を活用したビジネスも多数、登場することでしょう。
3月は絵画のオークションについてコメントしました。
需要と供給のバランスの中で価格が決定する「市場」機能はあらゆる分野で今後も必要不可欠な存在であることは間違いないでしょう。今年は10月11日に80年以上の歴史を持つ築地市場が豊洲に移転しました。築地市場だけでなく、他の中央卸売市場を訪れた経験から言えば、土壌汚染問題等はありましたが、築地市場の環境(老朽化、衛生・温度管理、交通アクセス等)を考えれば、意義のある移転だったと考えています。
昨年8月と9月に触れた暗号(仮想)通貨については、2017年の年末をピークに年明けから価格は急落、ピーク時の8割以上下落した状況にあります。暗号通貨は実物資産とは言えないですが、盗難事件や交換業者に対する信頼(信用)の崩壊等という、需要と供給以外の要素を背景にバブルは、はじけてしまったのかもしれません。
4月はカオス理論とモノの価格や需給動向との関係についてコメントしました。
カオス理論でいえば、気象に関する予測精度が高まっており、農業生産面での活用、災害を極小化する試みがより容易になっている一方、特定の言葉に反応して売買取引を超高速で自動執行するシステムの導入により、バタフライ効果ともいえる状況が原油をはじめとする商品市場や株価、為替市場で発生し、実体経済に影響を及ぼす度合いが高まってきつつある印象があります。
5月は、1月のふるさと納税とも少しだけ関連しますが、地理的表示(GI)について、また、6月は、A5ランクの牛肉と特A米についてコメントしました。
顧客ニーズへの対応という観点からは、5月と6月のテーマに共通しているのは、差別化やブランド化の方法はモノや地域によって多種多様であり、最適解は一つだけではない、ということでしょうか。
7月から11月は5ヵ月連続で貿易戦争の中でモノの価格や需給がどうなっていくのだろうか、ということについて考察しました。
本コラムを執筆している現時点では、最大の懸念であった米国中国間の協議は90日間の協議期間に入り、相撲でいう「水入り」の期間に入っています。協議の期限は2019年2月末なので、それまでに何らかの決定がなされるのか、両国だけでなく世界経済の減速感が鮮明になる中、どういった結論になるのか引き続き注目が必要です。
また、英国のブレグジット問題についてもEU離脱に関する国会での議論は年明け再協議となり、最終決定は先送りとなりました。英国のメイ首相はもちろん、EU側も難しい判断が求められています。英国内の物流施設はハードブレグジットを想定し、関連企業が製品在庫を積み増しているため国内の物流センターに在庫があふれかえっているとの報道もありますが、英国がEUから離脱した場合には英国・EU間での通関や物流面はもちろん多方面で甚大な影響が出ることは間違いないでしょう。
ちなみに、ちょうど1年前のコラムではこんなことを書いていました。
「2017年は、トランプ大統領就任後のTPP脱退発表、日本、中国、中東諸国等に対する様々なツイッターでの発言、前年の国民投票を踏まえた英国のEU離脱正式表明(3月)、仏大統領選挙での右派の台頭(5月)、スペインカタルーニャ州の住民投票(6月)、ドイツの連邦議会選挙での与党勢力の後退(9月)、そして北朝鮮の核ミサイル開発問題等、様々な問題が噴出した年であったにもかかわらず、日経平均とNYダウといった株価はいずれも年初に比べて上昇しました。日経平均はバブル後の最高値を更新し、NYダウも過去最高値を更新しています。
原油や金、銅、アルミニウムといった資源価格も、イランとサウジアラビアの関係悪化や中国の景気後退懸念も噂される中、いずれも年初に比べて上昇しています。
この勢いが続くのか、それとも一定の(大きな)調整が入るのか、景気の行方、モノの価格や流通量がどう変化するのか、要注目です。」
実際には、2018年の日経平均株価は年初をピークに3月にかけ下落したあと10月にかけて再び上昇に転じましたが、その後、大幅(10月2日の最高値24,270円の2割近く)に下落、12月25日には年初来安値を更新、1年8ヵ月ぶりの水準となっています。NYダウもほぼ日経平均株価と同様の流れで来ており、10月3日に最高値26,828ドルをつけた後、約15%下落しています。
原油価格は直近3か月で約4割下落していますが、昨年同時期でみるとほぼ同水準であり、金、銅、アルミニウムの価格は今のところ昨年同時期を上回る水準を維持しています。
年明け早々のビッグイベント(米中貿易問題、英国のEU離脱)の行方はもちろん、そのあとに予想される日米貿易交渉だけでなく、予想することができない「ブラックスワン」や「グレースワン」と呼ばれるようなイベントも突発的に起こる可能性があり、2019年も目が離せない状況が続くでしょう。
目まぐるしく動く国際情勢の中で、本質的なトレンド(潮流)の変化を感じ取れるよう、自らのアンテナの感度・精度を高める努力を継続したいと考えています。
今年1年、当コラムをご愛読いただき、ありがとうございました。執筆者一同(田中、孫、堀)、深く感謝申し上げますとともに、2019年も変わらぬご愛顧をよろしくお願い申し上げます。
皆様、よいお年をお迎えください。
(堀記)