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2018-12-10 注目動産

この動産に注目! ― 小豆 ―

 年内最後の月になり、季節的には冬が深まる時期なのに、これまではびっくりするほど暖かい空気に包まる日々が続き、いったい冬将軍がどこに行ったのかと不思議だった。暖冬になった影響で昨年と違って野菜の価格はだいぶ安くなっており、筆者の家では体に優しいメニューもよく出るようになっている。おかげで年末年始の「詰め込み」に備えて体の準備が整えられるのがありがたい。

 年末になると、日常生活の車輪が回るスピードも急に速くなったようで、いろいろと何気なく忙しくなり、遅れないようにと懸命である。しかし、遅れといえば、年末の風物詩である流行語大賞が発表され、今年はなぜか知らない言葉が大半で、日々新聞をチェックしているつもりでいる筆者ももはや世間に追い付いていないではないかと、年齢の積み重ねに対する不安が一気に膨らんでいる。

 ところで、今回のテーマである小豆に関しては需給の悪化で価格の先行きに対する不安が高まっている。日本で流通している小豆のうち、約7割が国産であり、残りは中国などからの輸入品となっている。国内の主な産地は北海道となっているが、今年は夏の低温や多雨で小豆の生育が悪化しており、今年の作付面積が昨年を上回ったにも関わらず、収穫量は昨年を1~2割下回ると予想されている。農林水産省が行っている「農業物価統計」によれば、2018年12月現在の普通小豆の農家販売価格は60kgあたり26,970円となっており、前年同月比約16%上昇している。一方、国内の需要を補うはずの輸入品についても、主要輸入先の中国では日本からの需要が増加する一方、供給の少ない状況が続いているため、価格は高値圏で推移している。小豆の需給環境が短期間のうちに改善されないことから、今後は国内の流通価格がさらに上昇する可能性も考えられる。

 小豆の需要は年末年始に集中するが、筆者の家でも新年になると、食卓には少し独自のアレンジを加えたお汁粉が必ず登場する。甘い年明けに欠かせない手ごろな小豆とあんこの小売価格は果たして足元の需給環境からどれほどの影響を受けるのか、今年のお汁粉のアレンジレシピーを考えながらも、ちょっと気になってしまうこととなりそうだ。

(孫記)

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