ZOZOSUIT
今月16日、長い間、日本の音楽シーンを牽引してきた安室奈美恵さんが、多くのファンに惜しまれつつ引退しました。
ミリオンヒットを次々と世に送り出し、10代シンガーとしては日本の音楽史上初となるシングル・アルバム総売上げ2000万枚突破。オリコンチャートの4年代(10代、20代、30代、40代)でミリオンセラーを記録するなど、その偉業は数え切れません。私自身は特にファンという訳ではありませんでしたが、それでも社会現象となった、「アムラー・ブーム」は印象深く、当時は、茶色のロングヘアー、細眉、ミニスカート、厚底ブーツを身に着けた若い女性たち、いわゆる"アムラー"が街中にあふれていたことを思い出します。その後、歳を重ね、出産を経ても抜群のプロポーションとキレキレのダンスはファンを魅了し続け、いつの時代も女性の憧れの存在であったようです。
プロポーションと言えば、我が家にもつい先日、体形測定スーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」がやってきました。ZOZOSUITは、ファッション通販サイトのZOZOTOWNが展開しており、スマホと組み合わせて利用することで、自身のプロポーションを瞬く間に測定。その結果をもとに体形にピッタリの洋服を注文することができるという優れものです。私自身、これまであまり興味を感じていなかったのですが、ここへ来てその凄さにはたと気づき、遅ればせながら注文してみました。なぜ私がこれまで興味がわかなかったかと言うと、「ZOZOTOWNは若い女性が利用するものであり、自分のようなオジサンが服を買うことなんかないだろう!」と決めつけており、よってこの道具の必要性を感じるに至りませんでした。
ところが、このZOZOSUIT、ZOZOTOWN専用の簡易オーダーメードツールという訳ではなく、体重計や体脂肪計などとは別次元で、利用者の体形の変化を管理することができるのです。3サイズはもちろん、腕の長さ、股下、首回り、腕回り、太もも周り、ふくらはぎ回りなど、自分ひとりではは中々測定しずらい部位のサイズを瞬時に測定し、さらにはクラウド上で管理することができます。よって、定期的にZOZOSUITを着用すれば、自分の身体の様々なパーツサイズの変化を記録することができ、さらには同体形の人間の平均値と比較することもできます。健康オタクでデータ好きの自分には垂涎の道具であり、しかも今なら無料で手に入る。そんなことに今更気づき、注文するに至りました。
企業側にとってみても、この取組は革命的なものがあり、今までどの医療、美容、アパレル関連企業なども成し得なかった「顧客の身体の実寸サイズ」というビッグデータを、ZOZOTOWNはいよいよ手に入れようとしています。Fintechの世界で利用するならば、利用者の測定結果を保険料に連動させたり、変化に応じた健康促進プログラムを提供したりと、利用者の身体の変化に応じたさまざまな切り口からサービスを提供していくことが考えられます(この分野は本当はInsurTechというべきかな)。とにかく、これまでには実現不可能であった新たなサービス展開を可能にするプラチナデータであることは間違いなさそうです。
ZOZOTOWNの前澤社長の発言によれば、「年間1000万枚を無料で配布する体制が整っている」とのこと。近い将来、体重計や体温計のように一家に一着の存在になる可能性も秘めているような気がします。その中において最大のネックはデザイン。全身にピタッとフィットする全身タイツのようなそれを着用した姿は、とても人前で見せられるものではありません。万が一にでも、年頃となった娘に私の全身タイツ姿を見られようものなら、益々関係が悪化することは間違いなく、かと言って全身タイツ姿の妻を見るという悲劇も味わいたくはありません。この先は、もっと格好いい?スーツの登場に期待せずにはいられません。
(田中記)