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2018-08-10 注目動産

この動産に注目! ― 豚肉 ―

 8月の2週目に入ってから、台風13号のおかげで暑気がひとまず吹き飛ばされ、短い数日とはいえ過ごしやすい気温で出社・帰宅できたことはやはりありがたい。暑さで喘いでいる筆者の体は、一息入れることで溜まっていたス トレスもだいぶ解消されたようで、これからまだまだ猛威を振るいそうな夏と付き合っていく気力は多少取り戻した気がする。

 今年の夏は異常といわれるほど暑く、気温が40セ氏度を超えたとしても、もはや驚くことではない。一部シンクタンクの試算によれば、夏の平均気温が例年より1度上がると、数千億円の経済効果がもたらされるという。筆者 の家のアイスや飲料の消費動向や、電気メーターの数字が走るスピードなどを考えると、その試算は机上の空論でもさそうだ。9月の終わりまでまだ2ヵ月程度残っているが、果たして猛暑による経済効果はどれほど現れるのか、 7~9月のGDPなど、政府によるさまざまな統計の結果が注目されよう。

 ところで、今回のテーマとなる国産の豚肉も足元の異常な天候から大きな影響を受けている。人間と同様、気温が高くなると肉豚の食欲も大きく低下し、増体のペースが一気に落ちる。一部メディアによれば、通常出荷適齢期 までおおよそ115キロまで増加する肉豚の体重もこの頃は100キロにとどまることが多くなっているという。これに伴って肉豚の出荷が遅れ、中元用原料の需要増や、西日本の豪雨による屠畜場や物流への影響といった要因も加え、 豚肉の価格は上昇傾向となっている。公益社団法人日本食肉市場卸売協会がまとめた豚肉(枝肉)の卸売価格(東京市場、豚肉「上」の加重平均)は8月現在、1キロあたり697円と、前年同時期比約10%上昇している。また、年初 の水準(1月、同500円)と比べて約4割上がっている。猛暑で肉豚の受胎率も低下する傾向がみられ、今後は供給不足による豚肉価格への影響は長引くとの見方も少なくない。

 台風13号が過ぎ去り、真夏日が早くも戻ってきている。8月はまだ三分の一しか経っておらず、夏の終わりまで先が長い。猛暑を乗り切るため、定番のウナギでも食べたいところだが、ウナギそのものの絶滅が危惧される中、 すでに気軽に食べることはできなくなっている。代わりにスタミナ満点の豚肉を使うしかないが、飽きないためにレシピをどうするか、足元の暑さに加えて悩みの元となりそうだ。

(孫記)

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