お知らせ&コラム

2018-02-28 業界動向

どちらなのか?

 今年の1月に米国ラスベガスで開催された家電見本市(CES、International Consumer Electronics Show)に関する新聞報道が気になったので、今回はこのテーマに関連する話題について書いてみたい。
 日本貿易振興機構(ジェトロ)によれば、前回(2017年1月)のCESの来場者数は184,279人、出店社数は4000社と世界最大規模の展示会であり、取扱品目は、3Dプリント、オーディオ、カーエレクトロニクス、通信インフラ等々、多岐にわたる。

 CESは元々、冷蔵庫をはじめとする白物家電や、テレビに代表される黒物家電が主役だったが、今回、日本からはパナソニック、ソニー、オムロン等の電機大手だけでなく、CASE(Connected(接続)、Autonomous(自動運転)、Shared(共有)、Electric(電気))の動きに代表されるトヨタ自動車、日産自動車、ホンダ等の自動車業界からの参加企業の増加が目立つとの報道が多かった。運転手の脳波を測定し実際の操作に活用する技術、車外の状況を把握するセンサー類を高度化し自動運転に活用する技術、音声や手ぶりでカーナビを操作する技術等々、夢のような話がほぼ実用化しつつあることに驚きを隠せない。

 1996年(平成8年)型の自家用車を現在も愛用している筆者にとっては、出張先でレンタルするハイブリッド車の性能の高さにすら驚いてしまうのに、レシプロエンジンを持たない電気自動車、自動車任せて縦列駐車を可能にする機能、前方の車両との距離を一定に保持し衝突を防ぐ機能等のCMや報道を見るにつけ、果たして、これは従来の自動車と同じ範疇のモノと考えてよいのか、電化製品と本質的な違いはどこにあるのかといったことを考えてしまう。

 スマートフォンも同様で、携帯電話と呼んでいるころは、まだ通話という本来的な電話の機能を感じられたものだが、家族とのやり取りも含めた通話時間が使用時間の5%以下にすぎない私のスマホにいたっては電話もできるパソコンなのか、携帯音楽端末なのか、ゲーム機なのかと思うことがある。

 弊社ではありとあらゆるモノ(動産)に関するデータベース(DB)を構築しているが、スマートウォッチは時計なのか、パソコンなのか?電子書籍は本と呼んでいいのか?先日(2月21日)の弊社田中のコラムにもあったAIスピーカーはスピーカーなのか等々、「これはいったい何(どの業界)に分類したらいいのか?」と悩む「モノ」がいろいろな分野で増加している。

 上述したCASEが自動車業界で進むと、「信号機、運転免許証、自宅の駐車場、ガソリンスタンド」がなくなるともいわれているが、技術革新の進展にともない、どんな新しいモノやサービスが生まれ、どんなモノやサービスが減少し、なくなっていくのか、注目していきたい。

(堀記)

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