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2017-10-10 注目動産

この動産に注目! ― パラジウム ―

 年内最後の四半期に突入したこの頃、朝晩はひんやりと肌寒くなり、秋を実感させる時期となっている。今年の夏は雨が多かったせいか、どんよりした天気がずっと続いた感覚が強く、やっと「天高く馬肥ゆる秋」の澄み渡る空が見られることは、大変うれしく思う。この時期になると、紅葉やら、温泉やら、グルメやらのキーワードの出現率も一気に上がってきており、秋を満喫するために周囲も慌ただしくなっているようだ。

 ところで、慌ただしさといえば、突然解散された衆議院の選挙に向け、政治家たちがまさに今、慌ただしくなっている。「今解散したら必ず自民党が勝てる」との見込みから、「希望の党には大きなチャンス」まで変わり、さらに「立憲民衆党の立ち上げで三つ巴の戦いになる」と、状況が目まぐるしく変化し、打算や誤算が入り交じり、ドラマ仕立てのような流れにはついつい目が奪われてしまう。投票日の22日まで何が起きるのか、専門家たちの予想通りの結果になるのか、それともだれも予想しなかった大きな逆転劇になるのか、筆者は気に入りのドラマの最終回が待ち遠しいい気持ちでいっぱいである。

 一方、今回のテーマであるパラジウムについては、ちょっとした逆転劇が起きている。パラジウムは白金族の1種であり、プラチナと同様、主に自動車の排ガス触媒に使われている。プラチナやパラジウムの主な用途は工業用であるが、このうちプラチナは主にディーゼル車の排ガス触媒、パラジウムは主にガソリン車の排ガス触媒として使用される。両者の価格については、従来からパラジウムよりもプラチナが高く取引されていたが、この頃になって両者の価格が逆転しており、パラジウムの価格がプラチナを上回った。

 パラジウム価格の指標となるニューヨーク先物市場の価格は、1トロイオンスあたり約943ドル(10/5)となっており、同日のプラチナ(同914ドル)より3%高くなっている。パラジウムについて、ガソリン車の排ガス触媒として需要が堅調に推移している半面、主要産地の南アフリカやロシアでの生産量が伸び悩んでおり、供給不足が続いている。対してプラチナが使われるディーゼル車の排ガス触媒の需要は低迷しており、プラチナ価格を押し下げる要因となっている。なお、パラジウムの需給環境については、当面供給不足が続くとみられ、プラチナと価格が逆転する状況もしばらく続くとの見方も多いようだ。

 プラチナもパラジウムも白金族の元素であり、違う金属といっても物理・化学的性格が似ており、工業用途のほかにジュエリーにも多用されている。筆者の家なら、妻の手玉箱にもそれらしいジュエリーがあるようだが、果たして何グラムの「在庫」が存在しているのか、ちょっと興味津々である。

(孫記)

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