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2017-09-11 注目動産

この動産に注目! ― 原綿 ―


 9月に入り、過ごしやすい日が続き、秋の気配がだんだん強まっている。今年は、東京で8月に21日連続で降雨となったなど、長雨のおかげで猛暑日が少なく、暑くない夏を過ごすことができた。太陽に照り付けられ、ダラダラと汗を垂れ流すことが少なくなった分、体にとってストレスの少ない夏になったが、一方で長雨に伴う日照不足は、自然界の植物とって逆に負担となったようで、野菜や果物の価格が高騰し、お財布にとってもストレスとなったことが間違いない。

 野菜や果物が高騰しているというと、最近はサンマやスルメイカなどの魚介類の価格も高値で推移していることが野菜などの値上げに勝るとも劣らない悩みの種である。これら魚介は、どれも大衆魚と呼ばれ、今はまさに旬の時期だが、どうやら台風の影響で水揚げが少ない。スルメイカについては、昨年すでに記録的な大不漁とされるが、このままではまさか高級魚になる勢いではないかとちょっと心配にもなってくる。

 ところで、値上げするものもあれば、値下げするものもある。今回の注目動産である原綿については、国際価格が軟調に推移している。原綿価格の指標となるニューヨーク市場の先物価格は現在、1ポンドあたり約70米セント台前半で推移しており、5月ごろにつけた年初来の高値の82米セントから約1割下落している。8月には一時1ポンドあたり70米セントを割り込む場面もあったが、足元はやや持ち直している。原綿の主な生産国である米国では、生産量の増加で供給過剰感が強まっており、価格を押し下げる要因となっている。原綿価格の低迷が続けば、日本国内における綿糸価格の下落要因にもなりそうだ。

 筆者はかつて好んで綿100%の衣料品を買っていたが、機能性衣料品のせいか、最近はそのこだわりはだいぶ薄らいでいる。そもそもどの服を買うかという決定権もすでに喪失しつつある中、とくに服の素材に執着するところではなくなっている。とはいえ、ちょうどワイシャツ1枚が着古して破れそうなので、せめて候補となるものだけでも自分で選ぶことにしたい……

(孫記)

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