三現主義
「ヤマハの社長がバイクの免許を取った理由」(稲泉連(ノンフィクション作家・ライター))というコラムがプレジデントオンライン(http://president.jp)に掲載されていました。(2017年5月12日付)
今から30年以上前に愛車RZ250で自宅(埼玉)から陸路と青函連絡船で函館に渡り、反時計回りに北海道1周ツーリングをした私にとっても、いろいろな意味で見逃せないコラムでした。
コラムによれば、ヤマハ発動機の柳弘之社長は2010年3月の社長就任後に二輪免許を取得し、テストコースで自社製品の試乗をされているそうです。柳氏は現職のオートバイメーカーの社長なので、万が一の事故を防ぐために二輪車の運転を控えることは理解できますが、二輪車の免許をそもそも保有していなかった、というのは意外でした。しかし、それ以上に意外だったのは、1955年に日本楽器製造(現:ヤマハ)から独立した同社の歴代社長の中で自社製品である二輪車を実際に試乗したのは、初代社長の川上源一氏だけであった、という部分でした。
コラムには柳社長の多くのコメントが記載されています。
最も印象的だったのは、「売り上げの6割が二輪車である会社の社長ですから、バイクに乗れないというのはやっぱり恥ずかしいと思ったんです。それに現地、現場、現物の「三現」を重視するのが、日本的経営の一番の強みだと僕は思っている。だから開発途上の製品に乗ったり、現場の若い人たちと定期的に話す機会をつくったりすることは、ずっと意識的に続けてきました。やっぱり現場に入っていくと、彼らもいろんな意見や質問をフランクにしてくれるから」という部分でした。
それは、年間数百社に上る事業会社に訪問させていただき、当該企業がどういった商品・製品を保有し、管理しているか、また保有している「モノ」の評価をすることを業務の中心にしている弊社が最も重視していることが、柳社長がおっしゃる「三現」そのものだったからです。 確かに、決算書を見れば、企業の姿がある程度は見えるのかもしれません。また、インターネットをはじめとする様々な媒体を通じて得られる情報は豊富にあります。今回のテーマでいえば、1980年には約237万台だった二輪車の国内販売台数が、30年後の2015年には約37万台(84.3%減)となっている状況を見れば、国内需要は減少していることも容易に分かります。(一般社団法人日本自動車工業会)
しかし、そうした情報だけでなく、様々な企業を訪問(現地)し、経営者の方にインタビューをさせていただき、保管場所や工場(現場)を見せていただき、商品・製品(現物)を見せていただき、実際に手に取らせていただくことを通じて、当該企業の実態がより明確になると確信しています。また、現地や現場に行き、現物を見せていただくからこそ、有益な情報が得られることも実感しています。
弊社も、引き続き、柳社長がおっしゃる「三現」をより高次元で実現できるよう、努めてまいりたいと思っています。
弊社の「動産Value」では、現地・現場・現物の「三現」についてお取引先企業様との会話が膨らむ各種情報を掲載しています。是非、ご活用ください。
(堀記)