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2017-05-10 注目動産

この動産に注目! ― カタクチイワシ(魚粉) ―

5月に入ってから植物の緑がいっそう鮮やかさを増し、日毎に力を強めている太陽の照りとの対峙もいよいよ本格化している。5月と言えば、待望のゴールデンウィークだが、筆者のゴールデンウィークは、大半は掃除等の「強制労働」で終わってしまい、残り一部は買い物の付き合いに駆り出され、当初のゆっくり休もうという目論みは見事に破たんしている。ゴールデンウィークに続く連休は68日後になるとなっているが、連休を利用して英気を養う打算もしばらくお預けになりそうだ。

ところで、季節的にはすでに立夏が過ぎ、スーパー等に行くと、初鰹やたけのこ等の旬の食材が多く並べられ、食の楽しみが確実に増えている。今回のテーマであるカタクチイワシ(魚粉)については、目立たない魚でありながらも、実は美味しい食を支える大事な役割を果たしている。カタクチイワシから生産される魚粉は、養殖魚の生産に欠かせない飼料の主原料である。カタクチイワシは世界各地で漁獲されるが、このうち南米のペルーが世界で最も多い漁獲量を誇り、世界最大の魚粉輸出国ともなっている。(ペルー産魚粉の価格が国際指標となっている)

ペルーでは、例年4~7月と11~2月にカタクチイワシの漁期となっており、漁期の前に試験操業が行われ、その結果に合わせてペルー政府が漁獲可能な数量枠を決定している。今年の4~7月の漁期については、ペルー政府が漁獲枠を280万トンにすると発表したが、これは6年ぶりの高い水準となっており、漁獲枠どおりの水揚げとなれば、魚粉価格の下落も期待される。しかしながら、地球温暖化による気候変動の影響から、年によってカタクチイワシの漁獲量が大きく変動しており、漁獲枠が引き上げられたからといって必ずしも漁獲枠と同水準の水揚げがあるとは限らない。財務省の貿易統計をみると、2017年3月現在の魚粉輸入価格は1トン当たり約17万円と、前年同月比約12% 下がっている。今後はペルーの漁獲状況次第で、輸入価格が大きくぶれることが考えられる。

日本国内では、ブリやタイ、ウナギ等の養殖で魚粉が多く使われており、その割合は飼料全体の5割超を占めている。さまざまな養殖魚の中で、筆者はかつてウナギを最も好んで食べていたが、近年はシラスウナギの不漁による影響でウナギの価格も高騰し、筆者にとってウナギはなかなか手を出せないぜいたく品となりつつある。後2ヵ月もすれば、ペルーで行われるカタクチイワシの漁期が終漁となるが、好漁に伴う魚粉価格の下落で土用の丑のウナギも少し手ごろになってくれないか、しばらくの間は家で備蓄しているオイルサーディンの缶詰でも開けて縁起を担ぎたい。

(孫記)

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