この動産に注目! ― 加工用食用油 ―
新年度のスタートに伴い、東京では桜の満開宣言が出されている。先週末に街へ出かけると、なだれ込む花見客に巻き込まれ、頭上に爛漫と咲いている花を楽しんだ。気温の上昇とともに万物が発する春の魅力が全開する中、清浄明潔の季節感に包まれ、すがすがしい気分に全身を浸す筆者には、楽しさのゲージが「満タン」になっている錯覚すら覚えるようになっていた。
桜を見上げながら、ちょっとした飲み物と食べ物があれば、楽しさのゲージがさらに「無限大」になる可能性もあったが、そもそも場所確保に失敗した筆者には残念だが、「無限大」に達するチャンスが訪れることはなかった。桜の下で席を確保できなかったものの、混み合う商業施設のフードコートで席を獲得し、家族の前で少しだけのたくましい姿を見せられたことは、筆者にとってせめての救いかもしれない。花に囲まれながらの食事という理想形は叶えられなかったが、それでも花見ついでの外食はそれなりに美味しかった。
ところで、美味しい食事と言えば、今回のテーマである加工用食用油も当然ながら欠かせない要素となっている。加工用食用油は、主にマーガリンやマヨネーズなどの油脂製品の原料として使われる大豆油や菜種油、パーム油などの植物油脂を指している。日本国内で消費される加工用食用油は、国内生産分と輸入分に大別されるが、国内生産分でも主に輸入原料を使用していることから、実質的にはほぼ輸入に頼っている。一部メディアによれば、円安ドル高の影響で輸入原料価格が上昇しており、これを受けて製油会社が大口需要家との交渉で値上げを要請しており、実際には1~3月分の価格交渉において値上げで決着になったという。ただ、値上げ幅は製油会社が要請している金額の半分にも満たないことから、今後は値上げ交渉が続けられる可能性もある。
一方、国際市場では、主な加工用食用油の1つであるパーム油の価格が主産地の東南アジアでの生産が回復するとの予想から下落しているほか、大豆油も大豆の主産地である米国などでの豊作により下げ傾向となっている。足元の国内市場では、為替の変動で加工用食用油の価格が上昇しているが、今後は国際市場の動きによる影響が日本にも波及することが予想され、3ヵ月から半年先の国内相場が一転して下落する可能性も指摘されている。
油脂は、人間に欠かせない三大栄養素の1つであるものの、すでに必要以上の分量を体内に蓄積してきた筆者の場合は、できるだけ避けることを基本方針としている。とはいうものの、筆者はリベンジとして2度目の花見に向け、出撃計画を進めており、花見にふさわしい脂多めのおかずを準備しとかないと、楽しみもだいぶ減る恐れがあるので、ひとまず今年n度目の例外として準備に取り掛かりたい……
(孫記)