コメの価格
コメの価格形成が昨年の状況とは一変し、いびつな状況となっている。
農林水産省によれば、2016年の主食用の水稲の生産量は約750万トン(前年比約0.7%増)、10アール当たりの玄米重量は556㎏(前年比2%増)と、全体的には豊作といえる水準であった。
その一方で、政府による飼料用米への転作推進(2015年産は44万トン、2025年度に110万トン(目標))による生産量の増加、全国各地におけるブランド米生産への注力の結果、比較的安価な業務用米の供給が不足し高騰。外食産業、中食産業から悲鳴の声が上がっている。
また、個人消費用のコメについても、消費の減少により、各産地が食味にこだわり開発したブランド米の価格と比較的安価な価格帯のコメの価格差が縮小しているため、ブランド米の生産者にとっても歓迎できないという、皮肉な状況となっている。
特に安定的な価格でメニュー設定をしなければならない中食産業、外食産業に属する事業者にとっては、古米や古々米のニーズも高まっており、それらの価格も高騰している。業務用米価格の高騰が続けば、輸入米の導入や小麦粉製品(うどん、パスタ等)への転換も検討している企業も増加することが予想される。
当然のことながら、コメは天候の影響を受ける自然の産物であることに加え、生産者や消費者の動向に大きな影響を受ける。のみならず卸売事業者等、流通に関連する事業者や外食産業、中食産業にも波及的な影響を及ぼしている。
コメの価格が関連業界にどのような影響を及ぼしていくのか、引き続き注目していくともに、2017年産の水稲や飼料用米に関する作付状況、農業政策、関連事業者の動向についても留意する必要がある。
動産Valueには食用米(玄米・精米)、加工用米、輸入米の3種類を掲載しています。是非、ご活用ください。
(堀記)