この動産に注目! ― トウモロコシ ―
2月は、リアル版のスパイ映画や国有地のバーゲンセールといった騒がしいな話題の中であっという間に過ぎ、気づくとすでに年度末に近付いている。世の中は期末という節目に向かってぎりぎりまで巻かれたゼンマイ機構のように力強く動き回る中、筆者もつられてひたすら前を見つめながら、新年度に向かってスピードを上げようとしている。目標達成前に息切れしないかと不安がぬぐえないものの、年度末を乗り越えたところで、1年に1度の盛大な桜宴が待っていることを考えると、膨らむ楽しみとともに体も少なからず軽くなったような気がする。
今年の花見季節については、気象庁の予想によると、関東地方のソメイヨシノの開花時期は平年よりも早く、3月19日ごろには開花がスタートし、3月29日ごろには満開を迎えるという。しかし、未だに寒波による寒さが続いており、桜は予想通りに「休眠打破」できるか、今後の気温変化に注目したい。ところで、寒波と言えば、今回の注目動産であるトウモロコシはまさに寒波からの影響を受けている。日本国内で消費されるトウモロコシは、生鮮野菜として食用されるものを除いて基本的に輸入に頼っており、輸入先は主にアメリカやブラジル、アルゼンチンなどとなっている。特に飼料用途のトウモロコシについては、ほぼ全量がアメリカ、ブラジルの2ヵ国から輸入されており、このうちアメリカからの輸入割合は全体の約7割に上っている。
アメリカ産トウモロコシの収穫が例年9~11月にかけて行われ、足元では収穫を終えたトウモロコシの輸出が集中する時期となっている。しかし、アメリカでは、2月上旬の強い寒波に伴う雪の影響でトウモロコシの産地である中部から貨物船が停泊する西部までの輸送が滞り、日本の飼料メーカーなどが調達したトウモロコシの出荷が大幅に遅れ、一部のメディアによれば、日本に到着するまで例年より1ヵ月以上遅延する可能性も出ている。国内需要を賄うため、中国産トウモロコシの輸入再開も検討されているようだが、アメリカ産と比べて中国産の価格が割高となっており、実際に輸入される場合、国内相場への影響が注目される。(トウモロコシに関する情報につていは、「動産Value」からもご覧になれます)
世界三大穀物の1つとして挙げられるトウモロコシは、飼料や加工食品の原料など幅広い分野で利用されているが、筆者にとって最も身近く感じるのはやはり夏に売られている採れたてトウモロコシである。旬になると、筆者の家の食卓によく上る一品として、みずみずしく甘い食味はもちろん、金運アップにつながると言われる点も食欲をそそる大きなポイントとなっている。あの話題の「ごみが埋まる格安な土地」を探し当て、手に入れる運も力もないが、せめて毎年はトウモロコシをかじって金色輝く夢だけでも膨らましてみたい……
(孫記)