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2017-02-28 業界動向

農水産物の輸出額

「農水産物の輸出最高(主見出し) 昨年、4年連続 果物、牛肉伸びる(袖見出し)」という記事が2017年2月8日(水)の朝刊5面(経済)に掲載されました。

 記事には、「2016年の日本から海外への農林水産物や食品の輸出額は、前年より1%多い約7,500億円と4年連続で更新した。円高の影響で日本全体の輸出額は7%減ったが、「日本産」の農水産物の健闘が目立っている。政府関係者が明らかにした。」と書かれています。

2月8日の農林水産省のホームページ(http://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/e_info/zisseki.html)を見ると、農水産物の輸出額の速報は2016年11月分が最新版で、12月分は掲載されていません。

このため、「政府関係者が明らかにした」という記載にしたのではないかと考えられますが、12月分までを含めた平成28年の速報値は記事が掲載されてから2日後の2月10日(金)に農林水産省のホームページに掲載されました。

記事の内容と実際にどうだったのか、あらためて確認してみました。

農林水産物・食品の輸出額(2016年)は、前年より+0.7%増(記事では1%増)で過去最高、4年連続で更新した、という部分は実際の発表どおりでした。財務省が1月25日に発表した報道によれば、輸出額は前年比▲7.4%減となっていますので、記事にある「7%減少したにも関わらず健闘が目立っている」という部分も誤りではありません。

2月10日に発表された速報によれば、輸出額はこの数年でみると、2012年の4,497億円をボトムに上記のとおり、4年連続で増加しており、記事に記載されているとおりです。

以上、2月8日の新聞記事自体には事実と異なる記載はありませんでしたが、上述した財務省が報道発表した日本の2016年の輸出総額は全体で70兆392億円、上記の農水産物の輸出額7,503億円は全体の約1.07%です。

また、記事の中にはブドウとイチゴが前年に比べて大幅に伸びた、との記載がありましたが、野菜・果実等の輸出額約255億円のうち、半分以上(133億円)はリンゴが占めていることも発表されたデータを見ると分かります。

記事がいうとおり、日本の農林水産物の輸出は「健闘が目立っている」と本当に言えるのでしょうか?

新聞記事からは有益な情報がたくさん得られますが、元のデータに当たってみる、全体と個別、総論と各論、業界動向全般と個別企業の違いを峻別する、といった姿勢を持つことの重要性をあらためて感じました。動産Valueでは農林水産省や経済産業省等の公的機関が発表している統計情報も多数、盛り込んでいますので、是非、ご活用ください。

(堀記)

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