この動産に注目! ― 樹脂原料 ―
立春を過ぎてから東京では晴れが続き、全国的にもいよいよ雪が融ける時 期になるかと思いきや、西日本を中心にまた寒気が舞い戻っており、国土交 通省や気象庁が注意を喚起するほど大雪の影響が警戒されている。日本での 居心地がよっぽど良かったのか、冬将軍はなかなか去りたくないという現状 の中、筆者は冬将軍が早く南半球へ行くようと願いつつも、週末に湯島天神 の梅まつりを楽しもうというレジャー計画を練り直さなければならないかも しれない。
週末の計画といえば、今週末にかけて安倍首相がアメリカを訪問し、トラ ンプ大統領と初の首脳会談に臨むことが伝えられている。また、首脳会談後 は、フロリダにあるトランプ大統領の別荘に訪ね、大統領とゴルフをプレー する予定も明らかになっている。公式の会談とプライベート感のあるゴルフ プレーという組み合わせは、強固な日米同盟を示す好機ととらえる見方が少 なくないようだが、果たしてあの金色に輝くゴルフクラブを振るうかもしれ ない交渉上手なトランプ大統領を前に、安倍首相は信頼関係以外にどのよう な「成果」を持ち帰られるかが注目を集めそうだ。
ところで、交渉については、今回取り上げたい動産であるポリスチレン樹 脂原料もメーカーと需要家の間で厳しい交渉が待っている。ポリスチレン樹 脂は用途が広く、中でも食品容器など包装資材として使用されることが多い。 一部メディアによれば、ポリスチレン樹脂の原料であるナフサとベンゼンの 価格は原油価格や為替の動きに連動して急上昇しているため、ポリスチレン 樹脂メーカーはこの頃、値上げすることで需要家と交渉に入ったという。
ポリスチレン樹脂の価格交渉は通常4半期ごとに行われるが、今回は1月に 値上げが実施された直後ということもあり、異例なこととして需要家から反 発する声が上がっているようだ。しかし、国内のポリスチレン樹脂メーカー は統廃合を繰り返し、現在は3社に集約されていることもあり、供給量が限 定される中、交渉のテーブルにおいてメーカー側が優位にあるとされる。ま た、値上げとなる樹脂原料はポリスチレン樹脂だけでなく、最近では塩ビ樹 脂メーカー各社も原料ナフサ価格の上昇を転嫁するため、相次いで値上げを 表明しており、ポリスチレン樹脂と同様、今後はメーカーと需要家間の交渉 が本格化する見通しである。
昨年末のOPEC(石油輸出国機構)減産合意以降、原油価格は上昇傾向で推 移しており、ナフサなどの価格もこうした影響から強含みで推移することが 予想され、樹脂原料の需要家にとって気の緩めない厳しい交渉が当面続く可 能性が高い。筆者は交渉術に疎く、たまに家電量販店で交渉にチャレンジし ても、今まで胸を張って言える戦績はほぼゼロである。トランプ大統領の登 場で最近はネット上で交渉術に関する記事も多く見かけるが、「ドア・イン ・ザ・フェイス」やら「アンカリング」やら、何かと面白そうなものが多い。 ほしいものがある時に家庭内の予算取り交渉で使えないか、試してみたい気 持ちはくすぐりたいところである。
(孫記)